アジア・セブンズシリーズ韓国大会での川崎清純。(撮影/松本かおり)
19歳は、いい時間を過ごしていた。
男子セブンズ日本代表の一員として韓国大会(9月29日、30日)スコッドに選出されていた川崎清純(かわさき・せいじゅん)だ。
今春、盛岡工業高校から関東学院大学へ入学した。アジア・セブンズシリーズのメンバーにも選ばれ、香港大会(9月14日、15日)でも国際舞台を経験した。
韓国大会ではプレー時間は少なかった。しかし、試合途中からの出場が多いため、勝負の時間帯にピッチに立っていた。準決勝(対韓国)がそうだった。
頼りになるはずのジョセ・セルがやや精彩を欠いたこの試合。191センチの川崎が競った場面で交代登場した。
キックオフの獲得に貢献。そして後半終盤、26-24と迫られた場面で勝負を決定づけるトライを決めた。
所属チームでは高校時代からFB、WTBでプレーするも、セブンズではFWを任せられる。関東学院大はすでに今季公式戦を戦っていたが、板井良太監督から「いろんな経験を積むことが大事。それが成長につながる」と言葉をもらい、桜のジャージーを着ての活動にも積極的だ。
アジアが舞台とはいえ、闘志剥き出しで向かって来る相手と負けられない戦いをくり返すのは、学生レベルでは得られぬ経験。自分の本当の姿を知る場にもなる。
「足りないところがたくさんあります。フィットネスとスピードをもっと高めないと。そういう中で、通用するシーンがいくつかあったのは自信になった」
気づきをすぐに成長に結びつけられるのは10代の特権だ。
雫石中時代は陸上と野球で才能を発揮した。父・清人(きよと)さん、兄・龍清(りゅうせい)さんの影響もあり、高校入学と同時にラグビー部に入部。盛岡工→関東学大と歩んだのも兄と同じだ(兄は現在3年生/元高校日本代表候補)。
親子の名に入る「清」の字は、祖母・清子(せいこ)さんから引き継がれている。
「うちの男の中では、兄がいちばん小さいんですよ。それでも184センチ。父もデカいんです。ひいおじいちゃんがロシア(人)なので、その影響だと思います」
高校1年時からセブンズユースアカデミーに招集され、もともと持っていた才能は、より研かれた。
高校2年から3年になる2017 年の春にはラグビーヨーロッパ 男子U18ヨーロピアンチャンピオンシップにU18日本代表(15人制)として参加(WTB)。
そのときに国際舞台も経験しているが、いま、「同年代だけの国際経験はありましたが、フルスコッドとなると、また違うものを感じます。タフです。同じチームの選手たちも同じです。皆さんすごい。外国出身のパワーある選手もいるので、その人たちが前に出たところをサポートし、オフロードパスをもらうようなプレーも覚えていきたいですね」とあらたな刺激を得ている。
15人制のワールドカップにも出たい。オリンピックにも。
「両方を目指すのは大変かもしれませんが、そのときに必要とされているところで全力でやって、ラグビー選手として成長できたらいいな、と思っています」
関東学大での試合出場が見込まれるため、10月13日、14日のアジア・セブンズシリーズ第3戦、スリランカ大会のメンバーからは外れたが、岩渕健輔ヘッドコーチも「高いポテンシャルを秘めている」と話す。
本人も周囲も将来を楽しみにする。