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【会見】サンウルブズ、来年は市原市がホームに。将来的には地域振興も

2018.10.03
左から、市原市マスコットキャラクター・オッサくん、市原市・小出譲治市長、渡瀬裕司CEO、ウルビー(撮影:BBM)
国際リーグのスーパーラグビーに日本から加わりここまで3季を過ごしたサンウルブズが、2018年の来シーズンから練習場を変える。東京の海浜地区にある辰巳の森ラグビー練習場から、千葉の北部にある市原スポレクパークに移転。10月2日、同市市役所で調印式があり、一般社団法人ジャパン・エスアールの渡瀬裕司CEOが小出譲治市長と会見した。
「決め手はピッチ」と渡瀬CEO。市民の生涯スポーツ振興や各種大会実施に用いられてきたスポレクパークには、天然芝グラウンドが3面、人工芝グラウンドが1面、備わっている。すでに現地視察済みの渡瀬CEOは、「練習場なのにこんなに芝の状態がいいのは凄いこと」と言った。
「広く使えますから、通常のラグビーグラウンドでやる以外のトレーニング、長い距離を走ることもできる。S&Cコーチも喜んで、色んなメニューを作ると思います」
一時はトップリーグクラブの施設の利用も検討されたと見られるなか、「誰かに気兼ねしながらグラウンドを使うのは、コーチ陣にとってもストレスがたまる」と、ほぼ独占使用ができそうなスポレクパークのメリットを説明する。
「(サンウルブズと同じオーストラリアカンファレンスの)ワラターズも以前、大きなスタジアムの横でいろんなチームに気を遣いながら練習していたところから、郊外の簡素なトレーニング場に移った。好きな時に好きなだけ使えるのが最高だと、(ワラターズの)ヘッドコーチも言っておりました」
世界中を転戦するチームの性格上、東京駅、成田空港、羽田空港のいずれへも約1時間程度でアクセスできそうなのもよい。この地は1月14〜18日、28日〜2月1日のプレシーズンキャンプ、国内開催試合前のトレーニング期間、遠征に帯同しない選手の調整などに用いられ、当面の使用期間は1年だが「将来についても引き続き(連携を図る)」と渡瀬CEO。いずれはこの場で若手育成計画も実施したいとするなど、将来的な構想も語った。
市原市はワールドカップ日本大会時にアイルランド代表の公認キャンプ地となっており、大会への機運醸成を課題としていた。かたやサンウルブズは、国内唯一のプロクラブとして地域密着を目指していた。双方のニーズが一致した格好だろう。渡瀬CEOは、これまでできなかった貢献活動をしたいという。
「市原市さんと連携し、近隣の子どもにラグビーを広められたら。(国内)ラグビーの場合、地域と言いつつも会社の色が強くなっている。(プロクラブの)我々はそういったことはありませんから、ラグビー界のなかで色を出していければ」
 
クラブハウスにあたるレストルームは目下建設中で、ウェイトトレーニング環境の整備にはサンウルブズの持つ器具の導入が求められそう。その他シーズン中の選手の住居など、検討中の事案はいくつかある。普段使うグラウンドがきれいなのは選手にとって朗報だろう。ワールドカップ日本大会直前のスーパーラグビーに挑むにあたり、サンウルブズが新たな一歩を踏み出した。(文:向 風見也)
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