明大ラグビー部の福田健太主将は「我々の収穫と言えば、対抗戦2戦目で勝てたことだけだと思います」と語った。
「日体大さんのブレイクダウン、前に出るディフェンスに受けてしまって、思うようなゲームができなかったのが反省点です。学びの多い日だったので、次に向けてしっかりチームでひとつになって頑張っていきたいです」
9月30日、東京・江戸川陸上競技場。加盟する関東大学対抗戦Aの第2戦目で日体大に31−17で勝ったが、後半のスコアは7−17だった。前年度6位の相手が鋭いタックルと突破役の活躍などでスタンドを沸かせる一方、前半に24得点の明大は攻め込んだ先でのミスや肉弾戦周りでの反則を重ねた。
昨季の対抗戦で2位だったチームは昨季、19シーズンぶりに大学選手権決勝へ進出。今季は22季ぶり13回目の日本一奪還を目指している。目指すレベルが高いだけに、SHとして先発の福田主将はこうだ。
「きょうの敗因…じゃなく、うまくいかなかった要因は、ラグビーの柱となるブレイクダウンで負けてしまったところかなと思います。日本一を目指すにあたってブレイクダウンで受けてしまうと、大学選手権を9連覇している帝京大、上位校の慶大、早大には勝てない。そこは見直していきたいと思います」
今季は、前年度にヘッドコーチとなった田中澄憲監督が実戦仕様の練習を徹底。タックル後の素早い起立や接点への素早いサポートなど、下働きの精度を高めてきた。大学選手権9連覇中の帝京大に春季大会、夏の練習試合で勝つなど確かな成果も残している。
ところがこの日の田中監督は、「動き出し、オフ・ザ・ボールの努力は、相手の方がアグレッシブだった。明大としては、自分から動くというところがまだまだ」と悔やむほかなかった。本来なら得意なはずの領域で後手に回ったのだ。
前日には東京・明大八幡山グラウンドで、控えチームが関東大学ジュニア選手権で帝京大の同格スコッドを19−14で破っている。指揮官は「動き出し、オフ・ザ・ボールの努力」を「そういうところ」「それ」と言い換え、自軍のプレーの出来幅について語った。
「きのう、ジュニアのチームがまさにそういうところ(反応や献身性の重視)を体現して帝京大に勝利してくれた。それができるチームなのですけど、できないゲームがある、ということ。そこはちょっと、自分たち自身がしっかりと考えなきゃいけない」
FLで先発の朝長駿も、「個人個人、練習通りのプレーができなかった。自分から行こう、行こうとするあまりノックオンが起きたり、いらないペナルティを与えたり」。もっとも、田中監督が指摘した試合ごとの波については改善のヒントを見つけていた。
「いいメイジと、悪いメイジがある。いいメイジの時にどういうマインドでやっていたのかを一人ひとりで振り返っていけば大丈夫」
10月7日、栃木・足利市総合運動公園陸上競技場で筑波大とぶつかる。今度は「いいメイジ」としてグラウンドに登場すべく、練習やミーティングの濃度を高めたい。
(文:向 風見也)