早大戦の前半10分。甲山大悟はインゴールに飛び込んだ。(撮影/松本かおり)
2試合で212失点。開幕の帝京大戦に7-113、続く早大戦に5-99と大敗したけれど、試合のたびに通用する部分を増やしていくつもりでいる。
今季開幕から2戦連続大敗の成蹊大。しかし、心は折れていない。シーズン2勝を目指す意志は強い。
勝利には距離のあった2試合だったが、ミッドフィールドで気を吐いた男がいる。3年生のCTB甲山大悟(こうやま・だいご)だ。
帝京大戦では、フィジカルの強さを前面に出した相手に17トライを許した。しかし甲山は出足鋭く前に出て、相手のノックオンを誘う好タックルを何度か見せた。
早大戦では、チーム唯一のトライを挙げた(前半10分)。ラインアウトからのアタックで、持ち前のタテに出る強さを発揮した。
桐蔭学園高校出身。早大のSH齋藤直人と同期で、高校3年時は全国大会(花園)の決勝にも13番で出場し、準優勝の成績を残している(31-37 東海大仰星)。
早大戦後、自身とチームのパフォーマンスをこう振り返った。
「齋藤は、やっぱり敵にいたら面倒でこわい存在でした。(自分の動きでは)タテにいけば通用したところはありました。ただ、ディフェンスが外に振られてそこを意識すると、今度は内と、やられてしまった。修正点を解決しながらシーズンを過ごしていかないといけない」
強豪校出身者として、自分の経験と知識を積極的にチームに還元する。
「練習中から声を出して引っ張るつもりでいます」
昨シーズンの対抗戦には左膝の半月板を痛めたこともあり、2試合だけの試合出場にとどまった(先発は日体大戦だけ。帝京大戦に途中出場。青学大戦はベンチ入り)。立大との入替戦前には戦列を離れた。
それだけに今季は責任感が増している。
「去年までよりBKのチームになっているので、その中で自分も力を出していきたい」
チーム全体にも目を配り、「通用するところが少ないので負ける。だから少しずつでも戦える部分を増やして、青学や日体に勝ちたいと思います」と話す。
小学2年生の時、吹田ラグビースクール(大阪)で楕円球を追い始めた。明大のHO松岡賢太、WTB矢野湧大、山村知也らは、その頃の仲間だ。
中学で神奈川に引っ越し、大和ラグビースクールでプレーを続けた。桐蔭学園を経て、現在は経済学部に学んでいる。
ほとんどの試合に勝っていた高校時代から、負けの方が多いチームでプレーすることになり、最初はフラストレーションも感じた。
「でも、先輩も同期も後輩も、みんな強くなりたいし、学ぶ気持ちがあるのを感じるので、充実しています。いい具合に上下関係がないのも居心地がいい」
一勝の重みが増した大学生活を楽しんでいる。
同期の才能を語る表情が楽しそうだ。
「LOの藤井(洋行/帝京八王子)はガッツがあります。FBの神田(圭大/幕張総合)はランナーとして武器になる。キーマン!」
172センチ、84キロとガッチリしたミッドフィールダーは、それらの力を引き出す存在。自信を持つタックルと縦へのランで、チームを前に出し続ける。