スクラムに懸ける日大FW。BKは怒涛のディフェンスで東海大に食らいついた(撮影:BBM)
とんがってるチームは素敵だ。日大はスクラムが熱い。
9月23日、三ツ沢で行われた東海大との試合は 28-48と差が開いたが、前半は7点差、後半9分までは 21-26の5点差。この試合のエネルギーとなっていたのが、日大のディフェンスと、スクラムだった。
前年大学選手権4強の東海大を苦しめた日大。特にスクラムには熱量が感じられた。
質はもちろん、まず練習量が違う。
昨季から始めた「朝スクラム」は毎週火曜、金曜の朝6時からの1時間(月水金の早朝はウエイトトレーニング)。夕方の通常練習では、全体練習が終わったあとに1時間。つまり週に少なくとも7時間。トップリーグのスクラムコーチが聞いたら飛び上がってうらやむようなメニュー占有率だ。
この日、ゲームキャプテンのCTB金志大はHIA(脳震盪の疑い)絡みで途中退出。前半途中からチームを率いたFL首藤(すとう)拓真は、試合中、悔しさを噛みしめ、またスクラムへの熱意に変えていた。
「有無を言わさぬ強さを身につける。ピンチとチャンスでは、あとの展開は考えず、8人全員がスクラムを押すことだけを考える。日大のアタックはスクラムを軸に据えているから、もしスクラムが崩れたら…という責任があります」(須藤)
後半9分、日大のトライ(G成功)で21-26と差を詰めると、東海大はプレッシャーを受けていたフロントローを交代、1番PRに今津紳吾を投入した。
以降、スクラムの主導権争いは東海大寄りに推移した。日大はたびたび、優位なはずのスクラムで反則を取られる(後半のペナルティは7)。
「東海は後半、間合いを修正してきた。早いヒットに変えてきた」とは日大3番PRの白川直人(174?、112?)。そこに対応する日大の動きがレフリーにマイナス要因と映ったか。日大は強みに手応えをつかみながら、スコアでは20点差を空けられる結果となった。
試合後、チームは前を向いていた。
FW陣は、ますます前のめりだ。
「昨年からスクラム強化を続けてきて、今年感じる違いもあります」と白川。
「流経大には、朝スクラムを始めた1年目はプレッシャーをかけられていた。今年は後半まで支配できました(9月16日・26-29流経大)」
ここから先は、優位から圧倒へ。
スクラムとディフェンスへのプライドが日大を動かす。