1999年1月20日生まれの19歳。50?走は6秒3。(撮影/多羅正崇)
今秋のチーム初トライを飾ったWTBは、少し前までフランカーだった。
流通経済大2年の中根稜登は、試合後に充実した表情で語った。
「(ウイングは)夏合宿の前からやっています。最初は難しかったですけど、いまはすこし慣れてきました」
170センチ、85キロと大柄ではないものの、ボールを持ったときの激しさは迫力満点。それまでWTB経験はなかったが、後半15分にも自身2トライ目を挙げ、開幕戦勝利に貢献した。
関東大学リーグ戦1部は9月16日に開幕。茨城・龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールドでは、昨季リーグ戦3位の流経大と、同6位の日本大が対戦。ともに4トライずつ挙げたが、流経大が1PG差により、29−26で接戦をものにした。
前半は日大が主導権を握った。
武器となったのは強力スクラム。相手ボールスクラムを猛プッシュでターンオーバーするなど力を見せた。前半15分の日大PR白川直人のトライは、スクラムターンオーバーが起点だった。
「今日は難しい試合でした。スクラムが上手くいかず、なかなかバックスにボールが回ってきませんでした」(WTB中根)
ハンドリングミスなども重なり、なかなかアタック時間を増やせない流経大。しかし前半38分、敵陣右隅でNO8積賢佑のオフロードパスを受けたWTB中根が、ディフェンダーに粘り勝って今季チーム初トライをスコア。
流経大は前半を7点ビハインド(7−14)で折り返したが、後半7分にLOサリミ緒巳人がスコアラーとなり、同15分には身長184センチのキッカー、FB韓尊文のキックパスをWTB中根が捕球。右隅に自身2トライ目を決め、腕を突き上げた。
「後半は自分たちが思うようなアタックができました」(WTB中根)
後半はWTB中根のトライを踏む3トライ、1PGを返し、流経大が逆転勝利した。
ラグビー強豪校の出身ではない。神奈川・田奈高校でラグビーに出会った。
「高校2年でラグビーを始めました。『公務員になろうかな』と考えて、ラグビー部に入ろうと思いました」
ラグビーが将来に役立つと感じたのだという。
迎えた高校3年の花園予選。単独校での出場は叶わず、県予選の初戦で敗退した。
「自分は合同チームだったんです。(花園予選の)2、3ヶ月前に人数を集めたんですが、惜しくも負けました」
それから約2年後、現在は「RKU」こと流経大の先発WTBとして躍動するまでになった。
今季への意気込みについて、WTB中根は力強く語った。
「出たら自分の仕事をまっとうして、敵を吹っ飛ばしてトライを取りたいです」
流経大の次戦は9月24日、東京・上柚木公園陸上競技場でおこなわれる中央大戦。高校時代を合同チームで終えた若武者が、RKUの主力のひとりとして輝き始めている。
(文/多羅正崇)