ともに王者らしい80分を過ごした。
9月16日、秩父宮。大学選手権9連覇、関東大学対抗戦7連覇中の帝京大と、昨シーズン関東大学リーグ戦1部優勝の大東大が今季開幕戦を戦った。帝京大は成蹊大に113-7と大勝。大東大は専大に53-21の完勝だった。
毎年、開幕戦では不満の残る80分を過ごしてしまう帝京大。しかし、この日は立ち上がりから飛ばした。パワーで圧倒するシーンと、巧みに抜きにかかる意識のバランスがよかった。
前半3分にSH北林賢悟がモール横を突破して先制トライを奪った後、チームの勢いを高めたのは、この日FBに入った竹山晃暉だ。アウトサイドを活かすプレーに徹してトライをアシストし続けた。
「(WTBが走る)スペースを潰さないように意識して動きました。外からの声もよく出ていた」
宮上廉、木村朋也の両WTBはそれぞれ3年生と2年生。最上級生は後輩の成長をサポートする意識も高い。
岩出雅之監督は竹山のFB起用について、「相手が嫌だと思うことを模索しています。流れを作れる選手」と話した。
そんな意図が的中して17トライを挙げた開幕戦。王者はモールでも4トライを奪い、LO秋山大地主将は「自分たちの強みにしていきたい部分」と、この先もっとチーム力を高める意志を示した。
春、夏と、ライバルたちに負けて迎えたシーズンイン。常勝軍団の地力は、ここから本領を発揮する。
突進する大東文化大キャプテンの平田快笙(撮影:松本かおり)
9トライを奪った大東大は、セットプレーで流れを引き寄せた。
ミスも少なくなかったが、そのたびにスクラムでボールを取り戻す。じりじりと引き離していった。
今季から留学生の3人同時起用が可能になった。それを最大限に利用しつつ、昨季からの進化も合わせて得た勝利について、HO平田快笙主将は言った。
「対戦チームは、こちらのスクラムの強さに対処しようと研究していると思いますが、それをさせないようにやろうとしました」
スクラムの猛プッシュで、一瞬にして相手の自由を奪ったシーンなどは、そのいい例だ。
連覇は、進化なしに手にできないと分かっている。