メインスタンド。芝の土手だったバックスタンドが生まれ変わった。(撮影/松本かおり)
かつてのメインスタンド。バックスタンドも含め、すべてが一つひとつ独立した
シートになった。(撮影/松本かおり)
メインスタンドのコンコースらは、キッチンカーが乗り入れられる。(撮影/松本かおり)
巨大なスクリーンもできた。迫力あり。(撮影/松本かおり)
クッション性の高い芝。プレーヤーの安全を守る。(撮影/松本かおり)
広々としたロッカールーム。シャワールームにはアイスバスもある。(撮影/松本かおり)
試合前にウォーミングアップできる室内練習場も。(撮影/松本かおり)
バックスタンド内部には、過去の全国高校選抜大会優勝校の
ジャージーが飾られる。(撮影/松本かおり)
以前、芝生席だったバックスタンドは4階建ての立派なメインスタンドになった。
かつてのメインスタンドはバックスタンドに。
観客席の下にはトレーニングジムなどが作られる予定で、セブンズ代表などが強化拠点にするようだ。
ワールドカップの開催スタジアムのひとつで、改修工事がおこなわれていた(熊谷スポーツ文化公園)熊谷ラグビー場が完成し、8月31日にメディア向けの完成お披露目会が開かれた。
メインスタンドの約6000席、バックスタンドの約10000席とゴール裏が約4000席ずつ。合計おおよそ2万4000席に加え、来年6月ぐらいまでには仮設席1600席も完成が予定される。
メインスタンドは、それぞれのフロアが機能的に作られている。
1階部分には広々したプレーヤーのロッカールームが設けられ(ダブルヘッダー開催可能なように4チーム分)、室内ウォームアップ場、運営本部も。2階には一般スタンドとVIP席がある。
3階にはVIPラウンジや個室から観戦できるビューボックスが設けられ、4階にはコーチボックスやTV判定室、メディア席。世界規格の設備が揃った。
注目すべきは客席の勾配だ。既存スタンドは18度〜22度の傾斜だが、新スタンドは下客席が21〜27度で上客席が35度〜35・5度。そこに座るとピッチを近く感じ、俯瞰して試合を見ることができる。臨場感あふれる観戦が可能になった。
ピッチと観客席は、実際にも以前より近くなった。ピッチをかさ上げしたことで見やすさも向上。バックスタンド、ゴール裏の席も含め、見切り席(死角があり、販売できない席)のないスタジアムとなった。
今回の改修工事は2017年の6月に始まり、124億円の事業費がかけられた。
スタンドの改修だけでなく、ピッチがかさ上げされたことでも分かるように芝も総貼り替え。ティフグランドという品種の芝を使っており、通常のものより密度が高く、クッション性にすぐれている。
175平方メートルのサイズを誇る大型映像装置も立派だ。今後、反対側にも60平方メートルの大型ビジョンが設置される予定となっている。
アクセスの不便さが心配される同スタジアム。大会時はJR熊谷駅と籠原駅からシャトルバスが運行され、森林公園駅、羽生駅、太田駅からも予約制バスが走る。
また、周辺数か所に駐車場を用意し、そこからシャトルバスも運行する。
いずれも同じ熊谷スポーツ文化公園内の熊谷ドーム前が発着所となり、観客はそこから徒歩でスタジアムを目指す。
暑さ対策として並木道をつくり、日陰を歩けるような工夫もこらされる予定。競技場周辺の道にも遮熱材が使用される。
スムーズな大会運営のため、ハード面を揃え、様々な準備をすすめる現地関係者は、描いたプランが実際にうまくいくか、本番までに国際試合など大きな試合を開催したい希望を持つ。
また、立派なスタジアムがワールドカップの3試合のためだけのものとならないように、将来も国内外の大規模の試合や大会の誘致を続けていきたいと願う。10月27日、28日に実施される第1回全国U18女子セブンズ大会も、そういったプランのひとつだ。
9月1日には花園予選・埼玉県大会の開会式で、高校生たちがふかふかの芝を踏む(準決勝進出チームから、同スタジアムでプレーができる)。
9月23日のワールドカップ1年前イベントでは一般のファンにも施設を公開予定。
10月20日にはトップリーグのパナソニック×キヤノンが開催される。
新しい熊谷ラグビー場の歴史が動き出す。