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「膝に手をついた選手いなかった」。大学選手権V9の帝京大に明大が2連勝!

2018.08.15

ボールを手に前進を試みる明治大のNO8坂和樹(撮影:福島宏治)

 昨季の大学選手権決勝を戦った帝京大と明治大が8月14日、長野・菅平高原サニアパークで練習試合を実施。明大が21−19で白星を得た。
 4月30日に北海道・札幌ドームでの関東大学春季大会・Aグループ初戦を17−14で制したのに続き、対帝京大戦2連勝を決めた。前年度の大学選手権決勝で20−21と相手の9連覇を許していたが、ゲームフィットネスの引き上げなどで王者の背中に手をかけている。
「明大には膝に手をついた選手も、足をつった選手もいなかったと思います。フィットネス(の強化)と準備がきちんとできている」
 勝ったSHの福田健太主将がこう言うように、試合終盤の追い上げを僅差での勝利につなげた。一方で敗れたLOの秋山大地は、攻め込んだ先でミスが起こっていたことをこう悔やんだ。
「ゴール前まで行くのに、ミス。そういうことを無くしていくには、いつもの練習中の集中力(が必要)。最後のワンパスでのミスは普段の練習でも起きていたので、見つめ直していかないと強いチームには勝っていけません」
 
 キックオフ早々にペースをつかんだのは、帝京大だった。鋭くキックを蹴り込んだ先で、飛び出す防御システムを発動。敵陣22メートル線付近左でスクラムを獲得し、塊と攻撃ラインの間にWTBの竹山晃暉副将を走らせるなどしてさらにゴールラインに迫る。たまらず明大はペナルティを犯し、前半5分、帝京大が敵陣ゴール前右ラインアウトからのモールとラック連取により先制トライを決めた。ゴールキック成功で0−7。
 明大は自陣ゴール前での守りで粘ってスクラムは終始優勢も、要所でスコアを広げられた。福田主将いわく、「受けてしまった」。帝京大はWTBの木村朋也が鋭いカウンターアタックで敵陣中盤まで進んだ先で、決死のカバーに入った明大HOの武井日向の一時退場処分を誘った。
 その直後の32分、敵陣ゴール前右のスクラムで最前列の並びが変わった明大を押す。NO8のブロディ・マクカラン副将のフィニッシュを導く。0−12。さらに35分、帝京大の木村が自陣中盤右のスペースを破る。LOの菅原貴人によるトライをおぜん立てする。0−19。
「前半はアタックができていなかった。もう1回、楽しんでアタックしよう」
 明大の福田主将がこの意識で臨んだ後半は、両軍の鋭いジャッカルの応酬や帝京大の秋山のラインアウトスティールなどでしばし膠着状態だった。
 もっともBK陣を2枚入れ替えた明大は、幅をとって前に出る帝京大の防御を制御すべくSO(10番)周辺よりもSH(9番)周辺での縦突進を多用。チャンスの糸口を探る。福田主将の述懐。
「10番シェイプだけだと帝京大の思うつぼ。9番シェイプからどんどんゲインラインを越えていこうとしました」
 逆転勝利への扉をこじ開けたのは16分。途中出場したSOの松尾将太郎による仕掛けを機に、NO8の坂和樹がトライを決める。直後のゴール成功で14−19と迫る。
 坂ら明大のFW第3列は、以後も肉弾戦でハードワーク。そして38分、自陣ゴール前右のスクラムの脇にあったスペースを、福田主将が鋭く破る。
「試合中、ずっとスクラムの回り方を見ていた。思い切って勝負しました。警戒されても、抜けばいいだけなので」
 まもなく、帝京大のCTBとして途中出場していた龍野光太朗が一時退場。ここから福田主将は、大きな声と身振りでFW陣を鼓舞。敵陣ゴール前でじりじりと接点を制してゆく。最後は交代出場のPR、安昌豪がポールに球をたたきつけた。21−19。ここからロスタイムまで帝京大の反撃をしのぎ切り、ノーサイドの笛を聞いた。
 都内に比べ涼しい菅平での合宿中、両軍とも攻防の形を再インストール。特に帝京大は夏に入り、ラッシュ系の防御など新たなシステムの消化に時間をかけていたようだ。大きな伸びしろを残しているとも言える。秋山主将はこう前を向く。
「きょうはセットプレーが安定していた時はいいアタック、ディフェンスができていたと思います。ただそこは明大さんの強みでもあって、こちらが劣勢に立ってしまいました。そこはFWの責任として(改善)していきたいです。明大さんは、プレーに波がない。コンタクトも激しいですし、リスペクトするところがあります。自分たちも力を上げていって、よき相手にチャレンジしていきたいです。きょうも、ゲームをしながら、楽しかったです」
 両軍は11月、関東大学対抗戦Aでぶつかる。もちろん12月以降、大学選手権の終盤戦でも再戦を見据える。勝った福田主将も「まだ春、夏で勝っただけ。本番の対抗戦、選手権での帝京大を見られるように、精進していきたいです」と語る通り、本当の勝負はここからだ。
(文:向 風見也)
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