ラグビーリパブリック

男子7人制日本代表の吉澤太一、控え目な口調で強い決意。

2018.08.03

ワールドカップ・セブンズのウルグアイ戦で鋭く切り込む吉澤太一(撮影:松本かおり)

 男子7人制ラグビー日本代表として今年7月20〜22日のワールドカップ・セブンズ(サンフランシスコ)に出た吉澤太一は、同代表へは今年から参加している。口ぶりこそ控え目だが、芝に立てばはじけるような走りを披露。目指すは、2020年の東京オリンピック出場だ。
「経験の多いメンバーのなか、経験の少ないところがちょくちょく出ている。小さいところなんですが、皆が落ち着いているところで攻め急いだり、ディフェンスでもひとりで飛び出してしまったりしています」
 自らこう語ったのは今年5月のことだ。
 7人制へチャレンジしたのは、ユニバーシアード大会(ロシア)の男子7人制日本代表となった2013年以来。当時在籍の立正大で主将を務めたランナーはここ数年、コカ・コーラの一員として15人制のトップリーグでプレーしてきた。7人制と15人制は、ボールとグラウンドは同じでもプレーする人数と試合時間が違う。両立する選手には心身両面での切り替えが課されると言われる。
 トップリーグでのパフォーマンスに適性を見出されてか、吉澤は今年1月から関連のセブンズ・デベロップメント・スコッド合宿へ招集されるようになった。そして4月28、29日には、ワールドラグビーセブンズシリーズのシンガポール大会に出場。周りからは攻撃力を評価された。
 もっとも当の本人は、「経験の少ないところがちょくちょく…」の後もただただ謙遜していた。思えば学生時代から、大風呂敷を広げないところがあった。
「ワールドシリーズにもまったくわからないような状態で出てしまって皆には迷惑をかけていましたが、自分ができることは精一杯やったつもりです」
 ワールドカップ・セブンズを前に、7人制日本代表は体制を刷新した。今年6月から、男女7人制総監督の岩渕健輔が男子のヘッドコーチを兼務。同時期に選出されたメンバーをオリンピックに向けた「1次スコッド」と位置付ける。そのラインアップに、吉澤も含まれる。
 この時5分ほど続いた会話では自己評価の低さが際立ったが、7人制ラグビーを正式競技とするオリンピックへは明確な意思が伝わってきた。「オリンピックに出たいということは、7人制の代表に選ばれてから強く思うようになっていて」と、27歳の戦士は静かに闘志を燃やす。
「オリンピックはセブンズをやりたい人、している人だったら誰もが出たい舞台だと思うので、呼ばれ始めて浅い僕が(出たいと)言うのもナンですが。合宿でセブンズの特徴を捉え、対応できるようにしていきたいとは思っています」
 アピールポイントを問われると、「アタックのところ、特にステップやハンドオフで相手を抜くところでは、チームにプラスになれるのかなと。ここで貢献できればと思います」。当面は、8月30日〜9月1日のアジア大会(ジャカルタ)への準備を重ねる。
(文:向 風見也)