男子セブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)合宿初日の7月30日。東京・府中朝日フットボールパークで汗を流す直前、選手同士でミーティングをした。
内容は、ラグビーワールドカップ・セブンズについてだ。7月20日から3日間、アメリカのサンフランシスコでおこなわれたこの世界大会には、今度のSDSに参加する16名(合流前の選手や練習生を含む)中8名が男子7人制日本代表として出場していた。
8月にインドネシアのジャカルタでおこなわれるアジア大会、11月から来年にかけ世界各国を回るワールドシリーズ、さらに2020年のオリンピック東京大会に向け、サンフランシスコで見つけた改善項目を出し合ったのだ。
「セブンズの場合、短期間で複数の試合がおこなわれる。一回、負けたからといって(精神的に)落ちないで、いかに勝つメンタリティーを保ち続けられるかがポイントになるね、という話になりました」
仲間と出した結論をこのように振り返るのは、橋野皓介だ。長らく男子7人制日本代表のプレーメーカーとして活躍し、今度のワールドカップ・セブンズにも出場。身長176センチ、体重83キロで、15人制をプレーするトップリーグのキヤノンでは主将経験もある30歳である。
特に「勝つメンタリティー」の欠如を悔やんだのは、大会2日目の21日だった。
選手、スタッフとも勝負をかけた初日の20日は、ウルグアイ代表を33−7で下すも、オリンピックリオデジャネイロ大会で金メダルを獲ったフィジー代表に10−35で屈した。大会2日目は、戦前に目指していた8強入りを逃がして迎えていたのだ。
結果、チャレンジトーナメント準々決勝で、カナダ代表に敗れた。17−35。起点のキックオフでボールを確保できなかったことを受け、橋野はこう語った。
「カナダ代表戦ではウォーミングアップの時から、勝つメンタリティーができていなかった。最初のキックオフのボールがキープできず、立ち上がりにポン、ポン、と簡単に点を取られて、試合中に崩れていってしまった。悪いプレーが続けば誰でも落ちるとは思うんですけど、そこでいかに切り替えられるかが大事です。1試合14分しかないので、試合中、すぐに切り替えないといけない」
2日目については、岩渕健輔ヘッドコーチも「気持ちの切り替え」を課題としていた。獲得率の低かったキックオフ時の陣形、スキルの問題点も検証したうえで、最大の問題点は心のなかにあったとしたのだ。
大会最終日の15位・16位決定戦では、ワールドシリーズ常連のケニア代表に26−14で勝っている。裏を返せば、チーム総体としての精神力次第でもっと白星を得られそうだ。
今回、議題に挙がったのは、敗戦から一夜明けて迎えるゲームについてである。暗い気持ちをはねのけてベストな準備をし、試合で守勢に回っても集中力を保てるか。ある選手は「個々の試合に向けた準備がよくなかった。(インターバルの間に)チームとして集まって何かをするべきなのか。今後に向け、スタッフを含めたチームとしての課題になった」と指摘する。
一方、身軽なプレーメーカーの橋野は「練習で緊張感を持ってやっていくしかない」と、日々の積み重ねを課題克服につなげたいとする。
「メンタル面は、成長の余地があります」
酷暑のなかでおこなわれたこの午後のフィットネス練習は、トップで走り終えた。
(文:向 風見也)