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練習で「プレッシャー」。神戸製鋼のカーターが語る、勝負強さの作り方とは。

2018.07.24

神戸製鋼入団会見後、丁寧にメディアに対応したダン・カーター(撮影:向 風見也)

 来日して間もないダン・カーターは笑う。
「暑さに関しては、いいことだと思っています。いま、ニュージーランドは本当に寒いんですよ」
 7月中旬まで静養していたニュージーランドは南半球とあって、冬の真っただ中。記録的な猛暑日が続く日本についても、「だから、この暑さのなかでできるのはいいことです」とユーモアを交えて言うのである。
「湿度が高いので、そこへのチャレンジはありますが」
 今季からトップリーグの神戸製鋼に加わったSOのカーターは、ニュージーランド代表112キャップを持つ希代のスター。テストマッチにおける通算個人得点を世界歴代1位の1598に伸ばすなど安定したパフォーマンスを発揮してきた。
 代表引退前には、大勝負におけるビッグプレーでも光った。
 2015年10月30日、イングランドはトゥイッケナムスタジアム。自身最後の出場となったワールドカップの決勝で、後半29分頃に40メートル超のドロップゴールを決める。
 この日は試合中盤までに大量リードも、対するオーストラリア代表の猛反撃で一時4点差に迫られていた。ところがカーターが自らの足でスコア差を7に広げ、34−17で勝ってニュージーランド代表を大会2連覇に導いた。
「その試合がある週の準備が大切になります。高いプレッシャーのもとでいいプレーをするために、いろいろな準備をしています」
 こう話したのは7月16日、神戸市内でおこなわれた入団会見後のことだ。自身の周りを囲む記者の1人から「勝負強さはどう作る」と聞かれ、準備の大切さを語った。実戦練習では試合でかかる圧力を想定し、連係を確認する。その習慣づけを、勝負どころでの正確なプレーにつなげているようだ。
 話題が状況判断に転じた際は、こうも語った。
「練習でプレッシャーがないと、外から見てすばらしいプレーに映ったとしても試合になるとよくなくなる場合が多い。練習でプレッシャーをかけ合うことで、試合のなかで(正しい)状況判断ができるようになると思います」
 夏が終わる前の8月31日、今季のトップリーグが開幕する。カーターのクールな判断がスタンドに熱気をこめる。
(文:向 風見也)
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