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15位も大きな体感。男子セブンズ代表、ケニアに勝ってW杯を終える。

2018.07.23
ケニア戦で逆転トライを奪った副島亀里ララボウラティアナラ。右の靴が脱げた。
(撮影/松本かおり)
 スパイクが脱げてもそのまま走った。
 12-14で迎えた後半終了近く。副島亀里ララボウラティアナラがインゴール左スミに入った。
 直前のプレーで、自ら独走しながらもパスをインターセプトされた。しかし、それを取り返して逆転トライを奪った。
「ミスをしたので、取り戻そうと思っていました。(靴が脱げても)足が壊れるまで止まるつもりはなかった」
 サンフランシスコで開かれていたワールドカップ・セブンズ。7月22日(大会3日目/最終日)、男子セブンズ日本代表は、ケニアに26-14と勝利して大舞台の戦いを終えた。出場24チーム中15位だった。
 前日のカナダ戦に敗れ、13位〜16位以下決定戦にまわったこの日。最終日初戦のロシアには、前半たて続けに3トライを許して20-26と敗れた。
 キックオフでボールを獲得できず、いっきに主導権を握られた。それでも一度は逆転したが、終始規律が乱れた。PKから攻められ、最後に逆転を許した。
 大会初日にウルグアイに勝ち、フィジー戦の前半をリードするなど、せっかく自分たちでスタンダードを上げたのに、カナダ戦、ロシア戦の敗戦で沈む。
 しかし、ラストゲームではそれを引きずらなかった。
 ケニアに先制を許した日本代表。しかし、大会3日目の最終戦(5試合目)に相手を上回るものを持っていた。
 フィットネスだ。岩渕健輔ヘッドコーチ就任から6週間しか経っていないが、ハードにトレーニングしてきた成果が出た。
 前半を12-7で終えたこの試合。前戦からキックオフを修正したことで2トライを奪った。
 しかし、後半3分過ぎに勝ち越しのトライを許してしまう。ただ、粘りのディフェンスを見せて簡単にはゴールラインを越えさせなかった。それが、その後の攻防に影響をもたらした。
 ラスト3分の勝負どころ。運動量で上回ったのはサクラのジャージーだった。
 逆転のトライを奪われた直後のキックオフからの攻防。抜け出た副島にもサポートがついていた。インターセプトから攻められてもしぶとく守り、反則を誘った。そして、直後のPKからのアタックに何人も反応した。
 逆転後の時間も、集中力高くプレーした。ダメ押しのトライまで奪った。
 15位の結果に、ベテランの坂井克行は「(ワールドシリーズの)コアチームの当落線上にいるということ。それがあらためて分かったと思う」と冷静に戦いを振り返った。この大会の中でうまくいかなかった様々なことについて、「もっとコミュニケーションをとれば良くなる」と話した。
 岩渕ヘッドコーチは、初日のフィジー戦の前半までは準備してきたことをパフォーマンスに結びつけられたものの、そこから目に見えてチーム全体の動きが鈍り、気持ちも落ち込んだことに「妥当な結果しか出せなかった。自分の指導が足りなかった」と反省した。
 収穫については、こう話した。
「6週間とはいえフィットネスを高めた結果、大会最後の試合でケニアを上回れた。そうなれば、ワールドシリーズで優勝したこともある相手にだって勝てる。選手たちが、それを実感してくれたことは大きいと思います」
 メダルを狙うレベルにはまだまだ遠い。
 目指すフィットネスレベルも同様。
 しかしこの大会が、選手自身が内面から変わるきっかけになるような気はしている。
 
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