日本ラグビーフットボール協会は21日、2016年11月から男子セブンズ日本代表ヘッドコーチ(HC)を務めてきたダミアン・カラウナ氏が2018年5月31日付で退任し、「Team Japan 2020 男女7人制日本代表総監督」の岩渕健輔氏が新HCに就任すると発表した。
2016年のリオデジャネイロオリンピックで男子セブンズ日本代表は強豪のニュージーランドを破るなどして4位入賞の快挙を成し遂げたが、その時点での成果や反省を経て、ワールドカップ・セブンズ2018でベスト8、東京オリンピック2020でメダル獲得を目指すには、世界で戦うために新しい知見を持っている人物が必要とされ、セブンズニュージーランド代表でスキルコーチ、ディフェンスコーチ、アナリストを務めたことがあるカラウナ氏が適任とされた。
カラウナHCは就任1年目、ワールドラグビーセブンズシリーズ2016-2017に選手がなかなか集まらないなか、国際経験が少ない大学生や地域リーグのチームに所属する選手らも招集し、育成しながらワールドシリーズを戦ったが、結果を出せず、コアチームから降格。経験を積んだチームは今年4月に再昇格を達成したが、カラウナHCは再契約を勝ち取ることはできなかった。
日本ラグビー協会の坂本典幸専務理事は指揮官交代の理由について、「東京オリンピック2020でのメダル獲得を視野に入れたときに、選手の所属するチームや企業のこと、日本人選手のことをより理解できる日本人のHCが相応しいのではないかと考え、岡村会長や関係スタッフと協議した結果、セブンズにずっと携わってきた岩渕総監督に男子セブンズ日本代表HCに就任してもらうことを決めました。カラウナHCは世界に通じるセブンズチームを作ってくれましたが、より強くするためにも、継続して世界とのネットワークを持っている岩渕新HCにチームを世界レベルに強化してもらい、そして東京オリンピック2020でのメダル獲得を託すことにしました」と説明した。
カラウナ氏は、「男子セブンズ日本代表チームのヘッドコーチを務められて光栄でした。2020年東京オリンピックまで再契約とはならなかったのは残念です。しかし、日本ラグビーフットボール協会は、違う方向へ進むことを望んでいるのです。私たちは、リオデジャネイロオリンピック後の強化計画の再構築に懸命に取り組み、ちょうど結果が見え始めてきていました。私は、チームが良い状態のときに離れていくことを感じています。7人制代表を支え、自分たちの所属選手を代表活動に送り出してくださった指導者、コーチ、企業の皆さんには感謝を申し上げたいです。この先には、胸の躍るような時間が待っています。私たちの選手を応援できるのを、私は楽しみにしています。Arigatou、Gambatte、本当に光栄でした」とコメントを発表した。
岩渕氏は総監督の立場から、「男子7人制代表が世界の舞台でステップアップできるように、素晴らしいリーダーシップをもって、チームに多大な貢献をしてくれたカラウナ氏に心から感謝しております。世界トップの7人制ラグビー理論を持ち、常に前向きで、7人制ラグビーを愛するカラウナ氏は、この18か月でチームを大きく成長させてくれました」と述べ、カラウナ氏のコーチとしての今後の活躍と家族の幸せを祈った。
そして、6月1日付でHCを兼任することとなり、「2020年東京オリンピック開幕まで、800日をきりました。カラウナ氏がチームに残してくれた卓越した7人制ラグビーの見識を最大限に活かし、さらに改善と工夫を加え、チームを表彰台にあげるよう、強い覚悟をもって取り組んでまいります」とコメントした。
退任するダミアン・カラウナ氏。ニュージーランド出身、43歳(撮影:松本かおり)