死闘を制すドロップゴールを決めたパーカー(右から2人目)のもとへ駆け寄る仲間たち
(Photo: Getty Images)
「最後のドロップゴールについてはターンオーバーをとってから考えました。(利き足ではない)右足がうまく動いて、ラッキーな結果に結びつけることができました。今日のように、最後にドロップゴールを決めて勝利したことは初めての経験です。入った時は信じられない気持ちでした。しかし、私は最後にゲームの完成品として締めくくっただけで、そこまでつないでくれた仲間たちに感謝の気持ちでいっぱいです」
5月19日、香港で初開催となったスーパーラグビーで、劇的なドロップゴールを決めてサンウルブズの勝利(◯ 26−23 vs ストーマーズ)に貢献したヘイデン・パーカーのコメントである。
身長175センチ、体重82キロ、ニュージーランド出身の27歳。かつてハイランダーズの控えSOだったパーカーは、今年初めて日本チームであるサンウルブズのメンバーとなった。パナソニック ワイルドナイツに在籍していた頃(2015年度)からゴールデンブーツの持ち主であることは知られていたが、今季初勝利となった先週末のレッズ戦とこの日のストーマーズ戦でも、ゴールキック成功率は100%だった。
ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは奮闘した選手たちを称えた。
「後半最後のゲームの流れは、チームを信じていました。ヘイデン・パーカーのパフォーマンスは素晴らしいものでした。称賛を送りたいと思います。この暑さのなかできちんとクオリティを出したこと、基礎も素晴らしかったです。ストーマーズはラインアウト、スクラムが強いトップのチームのひとつだと思います。フォワードに対してかなりプレッシャーを受けましたが、しっかりゲームもコントロールしてくれました。ここまで厳しい時もありましたが、サンウルブズの歴史的2連勝は素晴らしいことだと思います。チームが正しい方向に向かっているということだと思います」
3番で先発したPR浅原拓真は勝利を次のように振り返る。
「苦しい時間帯はとにかく横とのコミュニケーションをしっかりとろうと決めていました。ゲーム中その声をたよりに、自分も前向きにやっていこうという気持ちが湧いてきました。暑いなかでの試合でしたが、それは相手も同じです。今日はこういった環境のなかで、自分たちのラグビーにチャレンジし、それを結果に結びつけることができました。最後は経験したことがないような劇的な試合の締めくくり方でした。自分はサンウルブズに初年度から参加していますが、連勝したことも、海外で勝利したことも初めての経験です。本当に嬉しいです」
そしてラスト、キックチェイスからのスーパーキャッチで劇的勝利につなげたWTB福岡堅樹のコメントからも、サンウルブズの充実ぶりがわかる。
「今日の試合はキックチェイスが多かったため、ウィングとしてはそこでいかにプレッシャーを与えることができるかが、プラン成功の可否に関わるところでした。苦しいところもありましたが、プレーが途切れた時にはハドルを組み皆で話し、試合中はとにかく自分たちの役割をしっかり果たすという意識だけを持ちプレーしました。サンウルブズ初の連勝を達成できたことを光栄に思います。本当に嬉しいです。この80分間、暑いなか選手全員があきらめずにハードワークした結果だと思います」
2連勝で勢いづくサンウルブズは次週からオーストラリア遠征となるが、ジョセフ ヘッドコーチは6月の日本代表のテストマッチに向けた準備のため、日本へ戻り、スーパーラグビー第15節・レベルズ戦(5月25日)と16節・ブランビーズ戦(6月3日)はアシスタントコーチのトニー・ブラウンとスコット・ハンセンが代行で指揮を執る。日本代表の戦いに臨む選手たちもサンウルブズから一時離脱となる。