セットプレーの舵をとるHO堀江翔太。(撮影/松本かおり)
久々の復帰。ハードに戦うFLリーチ マイケル。(撮影/松本かおり)
瞬間加速でトイメンを置き去りにしたいWTB福岡堅樹。(撮影/松本かおり)
それぞれが、自分の言葉で今季初勝利への思いを口にした。
5月12日に秩父宮ラグビー場でレッズと戦うサンウルブズ。開幕からここまで9連敗と、スーパーラグビーで勝つことの難しさをあらためて感じている。
同11日の午後には前日練習をおこなった。そのトレーニング後、HO堀江翔太、FLリーチ マイケル、WTB福岡堅樹らが報道陣に囲まれた。
「ファンの方に申し訳ない」
そう言ったのは堀江だ。
いまだ勝利を手にできていないことは自分たちも悔しい。ファンの思いも伝わってくる。
「1年目、2年目もいつ勝てるか分からない中で、結果的に(1年目は)1勝、(2年目は)2勝できましたが、このまま勝てないんじゃないかという中でも(ファンは)応援し続けてくれました。(だから)みなさんに勝つ姿を見せられるように、いいプレーをしたいですね」
そのための準備はしてきた。
レッズについて、スクラムもラインアウトとも強い印象があると話す。実際組んでみないと優劣や感触は分からないとしながらも、自分たちのやるべきことはやってきた。
「(バイウイーク=休養週をはさんで)スクラムは最初は合わないところもありましたが、週の後半には修正できました」
ラインアウトについても、NZツアーの途中には改善の兆しが見えてきた。
「ロックがサインを考えてくれて、どのエリアで取るかより、獲得することを優先している結果だと思います」
ピッチの上の感覚を、プレー選択に活かせている。
選手同士のコミュニケーション能力が高まっている。
その感覚を口にしたのは、リーチも同じだった。
3月24日のチーフス戦で負傷し、今回が7週間、5試合ぶりの復帰となる6番は、久しぶりに仲間たちと準備を重ねる中で変化を感じた。
「選手たち自身で話して、いろんな問題をクリアにしていけている」
もちろん、まだまだ足りないところはある。
「トライを取った後のキックオフでミスをして、すぐに失点したり、そういったことを無くさないとチームは勢いに乗れない。自分たちのやるべきことにフォーカスし、一人ひとりが自分の仕事をもっとやり切ることが大事」
スーパーラグビーの厳しさを誰よりも知る男は、そう言った。
「(チーフスでプレーしていた頃との違いは)サンウルブズはトライを取るのも、守るのも、すごく努力が必要。チーフスでは楽にとれるトライが試合の中でいくつかあったけど、サンウルブズでは頑張って、頑張って、やっと取れる。デイフェンスでも体格差があるからきつい。もっとワークレートを上げ、2人で1人を倒すことを続けないと」
レッズをFWは強く、CTBにパワーランナーがいて、SOジョノ・ランスがそれらを使い分けると分析するも、「フォーカスすべきは相手ではなく、自分たちのやってきたこと」と言った。
福岡は「相手の強いところを認識して戦う」と話した。
「個が強く、パワーあるボールキャリアーもいるし、ブレイクダウンで圧力をかけてくることもあれば、オフロード(パス)も使ってくる。それらに反応して止めることができれば、自分たちに勢いが出ると思います」
トイメンのWTBジョーダン・ペタイアは18歳。「アグレッシブな選手だと思いますが、身体能力だけでなく、経験をうまく使って対抗したい」と心強かった。
前に出るディフェンスでプレッシャーを続けたい。
アウトサイドに立つ人間として、福岡は「声でつなぎたい」と言った。
全体を見渡せる位置にいる者として、的確な指示を出し、全体をコントロールする意識は高い。
「コミュニケーションをとって前に上がるデイフェンスを突き詰めたい。そして、外側でのディフェンスの責任を果たす」
自分たちがやりたいことをやれる時間は、少しずつ長くなっていると感じている。
今季国内最後のホームゲームでこの人が目立つなら、待望の勝利を手にできる確率は高まる。