新潟出身のトップ選手の指導を受ける高校生
「パスやキックを教えてもらい、少しうまくなったと思います。今後に活かしたいです」
新潟RS主将の清水太陽君が、イベント2日目を終えてお礼の言葉を選手たちに送った。
4月29、30日、新潟県ラグビー協会主催の新潟ラグビーフェスティバルが開催された。2日間でのべ400名近くの新潟県内の高校生や中学生が、地元出身のトップリーガーたちの指導をたっぷりと受けた。
講習会の内容は、高校生たちのニーズに合わせて
1日目は鳥屋野球技場で開催
2日目は新潟市陸上競技場にて
W杯を来年に控えているにも関わらず、地方を取り巻くラグビー普及の現状は非常に厳しい。新潟県でも中学高校では部員集めに奔走する。ある報告によれば過去10年間で、県内の部員数は180名以上減少、単独チームでの出場が難しいチームが増えている。県内では、各学校やスクールで親身な指導が施され、普及の努力が続けられているだけにもどかしい。
巻高校から日体大へ進学し、ヤマハ発動機、NTTコム、7人制日本代表としても活躍、そして現在は三菱重工相模原でプレーを続ける小林訓也選手、北越高校から流経大を経て、昨年度から神戸製鋼でWTBとして活躍する落合知之選手ら10名、また彼等の情熱を意気に感じて参加してくれた新関世志輝(クボタ)、土佐誠(三菱重工相模原)ら県外出身選手も参加した。
初日29日は、7人制大会の決勝前の鳥屋野球技場で行われた。12校、およそ250人が参加し、スクラム、ラインアウト、バックスのユニットスキルなど、実践的で緻密な技術を教わった。
30日は、場所を新潟市陸上競技場に移し、中学生・高校生あわせ150人が参加。基本スキル練習を含め、普段は人数が足りないために相手をつけた実践的な練習が行えない生徒達にとって貴重な機会となった。
この新潟県出身のトップリーグ選手(元選手、スタッフを含む)による指導会は、今回が3回目となる。
イベントの発案は、同郷選手たちのプライベートでの交流から生まれた。年1、2回、集まって交流を深めていた新潟出身トップ選手たち。その席で新潟の高校生たちの現状を知り、ふるさとのラグビーに恩返しができないかと話したことがきっかけだった。
新潟県ラグビー協会や高校指導者は、新入部員の勧誘のため努力と工夫を積み重ねている。今回の指導会は、そうした県協会の熱意と、故郷に恩返しをしたいと切に願うトップ選手たちの想いが合致して行われた。
指導を受ける中高生の表情は輝いていた。この1日、「少しうまくなった」彼ら。自分たちの部活動や練習が、どこかで同郷先輩のトップ選手たちとつながっている−−その実感が、今後続いていくスキルアップの支えになることは間違いない。
■指導にあたった新潟県出身トップ選手(元選手、スタッフを含む)
小林訓也(巻高→日体大→ヤマハ発動機→NTTコム→三菱重工相模原)
高橋銀太郎(新潟・亀田中→東農大二高→早大→クボタ)
今井翔太(新潟工高→関東学大→秋田ノーザンブレッツ主将)
八藤後裕太(北越高→京産大→NTTコム)
落合知之(北越高→流経大→神戸製鋼)
石田健(新発田農高→山梨学院大→NTTコム)
早川直樹(北越高→立正大→ヤマハ発動機)
宮尾正彦(新潟高→筑波大→トヨタ自動車コーチ→NEC)
小林大輝(北越高→立正大→タマリバなど)
土佐誠(山口県出身/現・三菱重工相模原)
新関世志輝(山形県出身/現・クボタ)
(協力・新潟県協会&新潟県高体連ラグビー専門部)