スタンドから届く仲間の声に、いい笑顔。日体大ラグビー部女子。(撮影/松本かおり)
1年前に笑えなかった悔しさがパワーになった。
「去年はここで勝てなくて、総合優勝(年間4大会の合計ポイントで争う)も逃しました。だから今年は、ここで勝っていいスタートを切りたかった」
今回のチームをまとめた庵奥里愛主将は目標を達成して目尻を下げた。
太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2018の第1戦・東京大会の決勝トーナメントが4月30日、秩父宮ラグビー場でおこなわれた。カップトーナメント(1位〜8位)のファイナルは日体大と追手門学院大の顔合わせ。26-10で日体大が頂点に立った。
固い防御を武器に勝ち上がってきた追手門学院大。準決勝では昨季年間チャンピオンのアルカス熊谷に完封勝ちし、頂上決戦の舞台に立った。
日体大は大きくボールを動かし、追手門学院大の築くピンクの壁を破った。
先制トライはターンオーバーが起点。小林花奈子が相手ボールをもぎ取り、すぐに攻撃に転じた。最後は高崎真那がインゴールに入った。
高崎は前半終了間際にもトライを決め、14-0として前半を終えた。
追手門学院大も後半が始まってすぐにPKから攻め、高木愛実のトライで差を詰めた。
しかし日体大は、持ち前の攻撃力でふたたび流れを引き寄せた。
リスタートのキックオフボールを受けて攻め、清水麻有が防御を突破。パスを受けた堤ほの花が右タッチライン際を走り切り、21-5とした。
堤はその直後にも躍動した。今度はチャンスメイクの走り。名倉ひなののトライを呼んだ。
最後に1トライを許すも、26-10の快勝だった。
大会MVPにも輝いた堤は仲間たちに感謝した。
しばらく日本代表から外れている。悩んだ時期もあったが、周囲のサポートを受けていまがある。
「プレー自体もメンタルも、悩んだ時期がありました。でもチーム(日体大)に戻り、みんなと一緒に練習しているうちに調子が上がりました。みんなの明るさ、言葉が嬉しかった」
また世界を目指したい。そう話すエースの存在は、今シリーズの残る3大会(秋田、静岡・裾野、三重・鈴鹿)でも日体大を走らせる力となりそうだ。