<スーパーラグビー2018 第8節>
サンウルブズ 29−50 ワラターズ
(4月7日/東京・秩父宮ラグビー場)
好機を逸し即失点。サンウルブズがホームグラウンドでワラターズに屈し、開幕6連敗を喫した。
前半4分。敵陣10メートル線付近左でラインアウトを獲得も、HOの堀江翔太がスローイングを強風にあおられ、「『大丈夫かな』というサイン(投入位置の決定)で放ると、風で流されて」。まっすぐ投げ入れぬ反則を取られ、相手に攻撃権を与える。まもなく警戒すべきWTBのタンゲレ・ナイヤラヴォロに逆側にできた空間を破られ、敵陣の深い位置まで破られる。最後はSHのジェイク・ゴードンのトライを許した。0−7。
3点差を追う前半16分には、キックオフのミスからセンタースクラムを与えて左、右と順に防御を引き裂かれる。最後はパスの出し手と左端のナイヤラヴォロの間にぽっかりスペースを作り、CTBのカーティス・ロナに破られた。7−17。
そして17分、ハーフ線付近左。
課題のラインアウトを確保して右大外へのゴロキックなどでビッグチャンスを演出も、敵陣22メートル線上でのパスを乱して1分以内に点差を広げられた。7−24。
17−38と勝負をつけられた35分、40分の失点のきっかけも、攻撃中の失策だった。FLの徳永祥尭は言う。
「ミスはフィフティ・フィフティのプレー(ややリスクを冒してのパス)をした時のものがほとんど。チームがオフロード(タックルされながらのパス)などでボールをつなごうとしているので仕方がないと言えばそれまでですが、質を上げないと」
試合ごとにメンバーを入れ替える方針のため、選手間の阿吽(あうん)の呼吸は築きづらい。それでも、日頃からミスに厳しくありたいだろう。
例えば、実戦練習で攻撃側が防御を崩した瞬間。コーチが「ピッ」と笛を鳴らしたところでやや弛緩し、ボール保持者が受け手の後ろへ緩やかなパスを放る…。この習慣を許さぬことが、現状を変える糸口になりそうだ。日頃の積み重ねが本番に現れる、とは、SHの流大主将ら多くの一線級が強調するところでもある。
喫緊の課題とされる防御面では、最後尾のFBに入る松島幸太朗は「コール(防御方法の伝達)が合わず突破される場面があった。1人が前に出る防御を、もう1人が流す(待機する)防御を…というところも」。PRの稲垣啓太は「(隙間を埋めるよう味方を呼ぶ)声を内(接点周辺に立つ選手)に伝える」という連携には少し進化を感じたものの、「1次目(最初の攻防局面)で人が割かれ過ぎて、ディフェンス(選手間の幅)が寄っている印象」とも続ける。さらに別な選手の証言に触れれば、コーチ陣の振り返りと選手の感覚をより一致させるべきと感じさせられる。
東京開催の試合は6つあるうち4つを消化。公式入場者数はホームゲーム初の1万人未満を記録した。ほぼ安定したスクラム、改善傾向にあるラインアウト、相手の虚を突く攻めの枠組み、要所でのFLのピーター“ラピース”・ラブスカフニの球への絡みといった良さを全国民へ伝えるには、結果が足かせとなっている。
「誰に何を言われようが、次に向けてどう動くかが大事じゃないですか」
堀江はまず、次のミーティング、次の練習機会だけを見据えていた。
(文:向 風見也)