トライを挙げ喜ぶレンスター。サラセンズは相手の勢いを止められなかった
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欧州のプロラグビークラブや地域代表チームが王座を争う「ヨーロピアンラグビー・チャンピオンズカップ 2017−2018」は、現地時間3月30日から4月1日にかけて準々決勝がおこなわれ、史上2チーム目の3連覇を目指していたサラセンズ(イングランド)は、プールステージで唯一の全勝だった第1シードのレンスター(アイルランド)に19−30で敗れた。
5万1700人の大観衆で埋まったダブリンのアビバスタジアムでサポーターの声援を受けたレンスターは、序盤、自陣からWTBジェームズ・ロウと主将のCTBイサ・ナゼワが左サイドを突破し、CTBギャリー・リングローズにつないで先制した。16−12で迎えた46分(後半6分)には、FLダン・リーヴィーが敵陣22メートルライン外から中央を突破して追加点。57分にはチーム一体となった連続攻撃をWTBロウがフィニッシュし、リードを広げた。
一方、SOオーウェン・ファレルらのゴールキックのみで得点を重ねていたサラセンズは、63分にモールドライブでゴールラインを割り、11点差に詰めたが、レンスターはプレッシャーをかけ続けて前王者のハンドリングエラーを誘い、6季ぶりの王座奪還へ前進した。
今年、ナショナルチームによるシックスネーションズ(欧州6か国対抗戦)ではアイルランド代表が全勝優勝を遂げ、チャンピオンズカップ制覇へも盛り上がるアイリッシュ。レンスターのライバルであるマンスターは、3年前に史上初の3連覇を遂げたトゥーロン(フランス)と準々決勝で対戦し、20−19で激闘を制している。
地元リムリックのソーモンドパークで戦ったマンスターは、6点を追う終盤の74分、WTBアンドリュー・コンウェイがタッチライン際でのキックレシーブから思い切ったカウンターで鮮やかに防御網を破って約45メートル走り切り、コンバージョンキックも決まって逆転勝ちした。
初のベスト8入りを果たしたフランスのラ・ロシェルは、ウェールズに乗り込みスカーレッツに挑んだが、17−29で敗れた。
昨季プロ12(現 プロ14=ウェールズ、アイルランド、スコットランド、イタリア、南アフリカの14チームが競うリーグ)のチャンピオンであるスカーレッツは、欧州初制覇を目指し、11季ぶりの準決勝進出となった。
そして、フランス勢対決となった準々決勝もう1試合は、元ニュージーランド代表で世界的スターのダン・カーター(欧州シーズン終了後、神戸製鋼コベルコスティーラーズに加入)を擁するラシン92が、28−17で昨季準優勝チームのクレルモン・オーヴェルニュを下した。
2015−16シーズンにファイナリストとなったラシンだが、まだ欧州タイトルを手にしたことはない。
4月中旬(20〜22日)に予定されている準決勝の組み合わせは、レンスター(アイルランド)×スカーレッツ(ウェールズ)、ラシン92(フランス)×マンスター(アイルランド)となった。
トゥーロン戦の終盤、逆転につながる劇的なトライを決めたマンスターのコンウェイ(中央)。
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