ラグビーワールドカップを主催する国際統括団体のワールドラグビーは3月23日、2019日本大会の予選で、タヒチ代表に違反があったとして、昨年のオセアニアカップを制していた同代表のアジア・オセアニア地区プレーオフ進出を取り消すと発表した。これにともない、同プレーオフ出場をかけた戦いでタヒチ代表に敗れていたクック諸島代表が復活し、アジア予選を兼ねた2018アジアチャンピオンシップの優勝チームと対戦することが決まった。
世界ランキングがトップ20以内に入っているフィジー、トンガ、サモアの3か国がオセアニア予選(パシフィックネーションズカップ)で直接、ワールドカップ出場権を得られるのに対し、クック諸島(現 世界ランク55位)やタヒチ(同85位)などオセアニア地区のセカンドグループに属するチームは予選ラウンドを複数回勝ち抜かなければ大舞台への切符を獲得できない。
その第1ラウンドがオセアニアカップで、前回大会の優勝チームであるパプアニューギニア(世界ランク65位)が協会内の混乱により不参加となったため、クック諸島とタヒチが一発勝負をおこなうことになって昨年8月4日にラロトンガで対戦し、タヒチが13−9で勝っていた。
しかし、敗れたクック諸島のラグビー協会が、タヒチは代表資格がない選手を試合に出していたと主張し、ワールドラグビーが調査を実施。ニュージーランド人のジュディシャル・オフィサーがヒアリングをおこない、タヒチラグビー協会からの提出を含めすべての事実を確認し、タヒチ代表はワールドラグビーの規定第8条に違反して不適格な選手2人が出場していたことがわかり、結果は覆ってクック諸島が勝者となった。
日本行きへの望みが復活したクック諸島は、6月30日にホームで、7月7日にアウェイでアジア最終予選(香港、韓国、マレーシアが参加)の1位チームとプレーオフを実施。その勝者は、各地区からの敗者復活を目指すチームとともに、ラスト1枠のワールドカップ出場権をかけた最終予選に進む。
ラグビーワールドカップ2019出場をめぐっては、ヨーロッパ予選でも問題が起きており、20年ぶりの切符獲得に王手をかけながらも、3月18日の最終戦でベルギー代表に10−18で敗れ悔し涙をのんでいたスペイン代表が、ワールドラグビーに対して再試合を要求している。
スペイン代表が負けたため同地区予選1位となったルーマニア代表の9大会連続のワールドカップ出場が決まったが、運命を左右するベルギー対スペイン戦(ブリュッセル)はルーマニア出身のレフリーが担当し、複数の判定に不満と怒りを募らせていたスペイン代表の選手が試合後、レフリーに詰め寄る騒ぎとなっていた。
スペインラグビー協会によると、利害関係があるためルーマニア出身のレフリーをベルギー戦の担当から外すよう求めていたが、選定権限があったラグビーヨーロッパ(ヨーロッパ協会)は変更せず、スペイン協会のアルフォンソ・フェイホ会長は自国代表チームに対して10回のペナルティを科したレフリーを批判し、「公平性がなかった」として、ワールドラグビーに再試合を要求した。
スペイン代表は仮にベルギー戦の敗北が確定しても、プレーオフまたは敗者復活最終予選で2019ワールドカップ出場権を獲得できる可能性がある。
ベルギー戦後、ルーマニア出身レフリーに詰め寄るスペイン代表選手(Photo: Getty Images)