<スーパーラグビー2018 第3節>
サンウルブズ 17−37 レベルズ
(3月3日/東京・秩父宮ラグビー場)
前半20分ごろに鋭いタックルで相手の落球を誘う一方、試合終盤の攻撃時は自らも落球を重ねた。
サンウルブズのCTB、中村亮土は潔かった。
「極端にいいところも悪いところも出た、という感じです」
前年17位、18位チームの対戦。ホームのサンウルブズは、前半に故障者が相次ぎ想定外のライン構成を余儀なくされた。結果、いくつかの分岐点で向こうの良さを引き出す。
中村はこうも続ける。
「そこまでメンバーが代わって…(影響が出た)ということはない。ただ、相手が後半、(プレーを)修正してスペースを見つけ、攻めてきた。トライを連続で取られ、メンタルもきつい状況に追い込まれました」
空中戦に泣いた。
試合開始早々にレベルズの反則から敵陣深い位置でのラインアウトを獲得も、投入役と捕球役などの呼吸が合わずに得点を生めない。
さらに前半11分には、ハーフ線付近右でのラインアウトの球を相手に渡し、負傷入替があった直後の防御網を攻略される。対する日本代表のNO8、アマナキ・レレイ・マフィに走られた。0−10。
ラインアウトのサインを出すFLのリーチ マイケルは、こう悔やむ。
「サイン、(選手の)並び…。そこで混乱をしてしまいました」
サンウルブズは10−10と同点にしてハーフタイムに突入したが、その間、相手側は自分たちの反省点をシンプルに抽出していた。
後半2分、敵陣10メートルエリア左のスクラムからの攻撃では、接点周辺の突撃を絡めて一気に22メートル線付近へ進む。
ここで対するリーチは接点へ腕を伸ばしてボールを取りかけるが、その際の立ち位置を反則と見なされる。
リーチが首を傾げるかたわら、レベルズはペナルティゴールで勝ち越し。10−13。デイヴィッド・ヴェッセルズ ヘッドコーチは述懐する。
「前半はゲームプランから逸脱していた。そこを元に戻さなければなりませんでした。後半、変化があったとしたら、よりダイレクトなプレーが続いていたことだと思います」
ここからサンウルブズは5分、8分、12分と立て続けにトライを奪われる。10−30。いずれもスクラムからの継続で、うちふたつは1次攻撃で防御を攻略される。
中村が相手の良さをその原因に挙げるかたわら、野口竜司はこう話す。
「ノミネート(立ち位置の決定)が一個、ずれていたりした」
FBを本職としながら急遽WTBで途中出場の野口は、自陣深い位置でのパスカットで危機を救いながら、平時の連係に苦しんだか。
「相手を前に出させないよう圧力をかけなくてはいけなかったのですが、(飛び出しなどの)判断が遅かった」
反則数は敗者が3で勝者が16。サンウルブズは、幾多の攻撃権を得ながら2連敗したのだ。
開幕2戦で10名の故障者が出たとあって、細部の点検と阿吽の呼吸の再構築が急務となろう。
以後は南アフリカ遠征で試練を迎える。
前年までチーフスに3季在籍のリーチは「楽しむ。準備する。そのバランスが大事です」。ラインアウトの戦略を簡潔にし、次戦に挑むという。
(文:向 風見也)