ラグビーリパブリック

真・ランニングラグビー。関東新人大会で躍動した茗溪学園の充実。

2018.02.22
豪快に走る茗溪学園CTB大村知意。(撮影/多羅正崇)
 縦横無尽に走り回った。4試合で奪った得点は「223」。
 関東の強豪が会する関東新人大会で、実に一試合平均56得点の攻撃力を見せたのが、茨城県代表の茗溪学園だ。
 
 2月10日から18日まで、埼玉・熊谷ラグビー場B・Cグラウンドで開催された関東新人大会。大会最終日の18日、決勝戦の前におこなわれた3位決定戦で、茗溪学園は深谷(埼玉)から9トライを奪って55−5で勝利した。
 
 前半、風下でボールを保持してアタックする深谷に対し、茗溪学園は粘り強いダブルタックル、リロードで対抗。攻めてはパワーある1年生PR豊島健太郎、PR牧大貴(2年)、FL大塚椋生(2年)らがトライへの足場固めに身を挺し、スキルフルなNO8佐藤剛主将がワイドに走り回った。
 この日は、指揮官の高橋健監督が「足の速い子たちが揃っている」と評するバックス陣が、9トライ中8トライをスコア。
 
 両WTBはもちろん、ペースメーカーのSH大越勇気(1年)、超攻撃型のSO黒川心平(2年)、機敏なアタッカーであるFB今井惇平(1年)など快足ランナーが揃い、とりわけこの日は1トライを挙げた植村陽彦(2年)、ハンドオフを駆使しながら4トライを挙げた大村知意(2年)の両CTBがアタックを牽引した。
 
 試合後、高橋監督は反省を交えながらも「ランニングラグビーをしている茗溪を取り戻せるかなという感じですね」と期待を語った。ボールをつないで走り続けた“ランニングラグビー”をふたたび大きく掲げたい。
 
 しかし茗溪学園が目下注力するのは、アタックではないという。本職はWTBのCTB大村が語ったチームの強化ポイントは、「ディフェンス面」だ。
 茗溪学園は昨年度の全国高校ラグビー大会“花園”で、日本航空石川(石川)に7−66で敗れて2回戦に散り、一昨年度の花園では、3回戦で御所実(奈良)に0−71で退けられた。
 
 昨年度の花園にポジション最後方のFBとして立ち、今季はWTBとしての起用も濃厚なCTB植村は、花園にホロ苦い記憶を残している。
「(日本航空石川戦は)僕は後ろから見ていて、最前線では何もできなくて悔しかったです。2年前は、アタックは良かったのですが、ディフェンスでやられてなかなか勝てませんでした。ディフェンスは大事だと思います」(CTB植村)
 
 花園での大敗は二度と繰り返したくない。堅固なディフェンスを期して迎えた今大会では、1回戦を90−0、2回戦を66−0と大量得点&完封で勝ち上がってきた。
 準決勝では桐蔭学園(神奈川)に12−54で敗れて成長の余地を残し、高橋監督も「桐蔭さんには通用しないのでまだまだ」と振り返ったが、3位決定戦も失点を1トライのみに抑えた。CTB植村も「ディフェンスは良かったと思います」と振り返る出来だった。
  
 伝統のランニングラグビーを念頭に置きつつ、選手自身の強い問題意識から、ディフェンスに取り組む茗溪学園。
 新たな進化を遂げつつあるチームの次なる大舞台は、関東3位チームとして乗り込む全国高校選抜大会。
 全国の強豪との楽しみな力比べは、3月30日、埼玉・熊谷で開幕を迎える。
(文/多羅正崇)