接点で強い当たりと責任感を見せたシドニー大クラブの選手たち。(撮影/松本かおり)
ラグビーの光景だった。
紫紺と青×黄のジャージーが円陣を組んで体を揺らした。カンガルーの国からやって来た若者たちがクラブソングを歌い、日本の学生たちも盛り上げる。冬の日曜の午後、そこには楕円球の文化があった。
2月11日、来日中のシドニー大学クラブの初戦となる明大戦が、八幡山グラウンドでおこなわれた。
3年生以下で戦った明大には、大学選手権決勝に出場した選手たちが何人もいた。シドニー大学クラブは、ファーストグレードの選手たちが4、5人だけという陣容。20歳以下の選手たちも少なくなかった。
しかし、試合に勝ったのは来訪者。前半21-19と競っていたスコアを、最後には56-38として終えた。
NO8のジャクソン・マッカルマン主将は、「メイジはスキルフルで、タフ、そしてスピードがあった。私たちは特に前半、ミスが多かった。しかし、後半はうまく戦えた。コンタクトの部分でいいパフォーマンスができたことで、試合を有利に進められるようになりました」
組織として統一されたものが見られたのは明大の方だった。しかしシドニー大クラブは、個々が責任を果たして対抗した。闘志剥き出しのタックルを見せて接点で後退しない。そして、ボールを取り返した。
特に目立ったのは、ターンオーバーした後にいっきに攻め切るシーンだ。決めごとでなく、一人ひとりが、そのときが最大のチャンスと知っている。サポートがわき出て、プレーがつながった。
シドニー大は1863年創部。長い歴史を誇り、多くのワラビーズ(豪州代表)を輩出してきた。1991年(第2回)のワールドカップを制したときのSHニック・ファージョーンズ主将や、現ワラビーズの中ではSOバーナード・フォーリー、FBイズラエル・フォラウらが同クラブに所属。現在パナソニックで活躍中のベリック・バーンズもかつて在籍していた。
2月14日にはU20日本代表候補、17日にはオール明治と、日本ツアー中にあと2試合を戦う。マッカルマン主将は、このツアーの目的を「プレシーズンに、ディベロップメントスコッドの選手たちの力を伸ばしたかった。また、いま日本のラグビーは世界に注目されています。そのカルチャーがどういうものであるのか見てみたかったし、学びたかった」とあらためて話し、次戦に向けて「U20代表は今日以上にうまい選手が揃っていると思います。フィジカル的にも強いはず。楽しみ」とした。
試合後は笑顔で交流。アフターマッチファンクションもおこなわれた。(撮影/松本かおり)