サンウルブズで大いに刺激を受け、充実の日々を送っているニューフェイスがいる。ホセア・サウマキ、トンガ生まれの25歳。大東文化大学に在籍していた頃から爆発的なスピードを披露し注目されていた身長190センチ、体重106キロのWTBは、昨年、キヤノンイーグルスに入団し、2017-18シーズンのトップリーグではルーキーながらリーグ戦全13試合(9試合先発)に出場して10トライを挙げ、最多トライゲッターとなった山田章仁(パナソニックワイルドナイツ)とは2本差の2位という成績を収めた(総合順位決定トーナメントは2試合とも先発、2トライ)。そして1月9日、サンウルブズに追加招集となる。
北九州合宿の最終日、ハードなトレーニングに苦しい表情を浮かべながらも、チームメイトと一緒にやり切ってハイタッチを交わし、練習後は笑顔でファンに対応していた。
2週間の別府・北九州合宿を振り返る。
「キツイっすね。こういう練習は初めて。すごいタフな練習をやってます。精神的にも強くなってる気がする。すごいいっぱい走る。自分でリカバリーをちゃんとやらないと、次の日はもう歩けないです。でもみんなプロだから、いっぱい走って、自分でリカバリーとかやってる」
2016年5月、リポビタンDチャレンジカップへ向けた日本代表スコッド43名のなかに選ばれた。しかし、2012年10月に母国の7人制代表としてワールドセブンズシリーズに出場していたため、国際統括団体のワールドラグビーが定める規定「一国のシニアの15人制チーム、またはそのすぐ下のシニアの15人制代表チーム、もしくは、シニアの7人制代表チームでプレーしたプレーヤーは、他の協会のシニアの15人制代表チーム、または、そのすぐ下のシニアの15人制代表チーム、もしくは、シニアの7人制代表チームでプレーすることはできない」に抵触し、桜のジャージーを着ることはできなかった。
だが、2016年のリオデジャネイロ大会から7人制ラグビーがオリンピックの正式競技として採用されることとなり、ワールドラグビーは2014年に規定の一部を変更しており、別の国の代表になることは可能となっている。「当該国の国籍取得」「前代表で最後にプレーした時点から3年以上経過」「決められた国際セブンズ大会への出場」が条件となり、申請がワールドラグビーの規定委員会で承認されなければならずハードルは高いが、それでもサウマキは、いつか桜のジャージーに袖を通すことができると信じている。
「日本代表になりたい。そしてワールドカップでプレーするのが俺の夢ね。がんばります」
今年から、日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチがサンウルブズを指揮することになった。精いっぱいアピールして、自分に足りないものは何かを指揮官から聞いてみたいと思っている。
「(ジョセフ ヘッドコーチは)いつも練習で、『がんばってがんばって、いいねいいね、もっともっとがんばって』と言ってくれる。チャンスをもらったから、がんばらないと」
大学2年の時に亡くなった父(元トンガ代表)からよく、「いい選手になりたければハードに練習をしなさい」と言われてきた。息子はその言葉を大事に成長し続けている。
かつてはパワーで防御をぶち破りトライを重ねることも多かったが、大学3年時に前十字靭帯を断裂し、復活後、ステップでずらすスタイルも学んだ。走りはトップリーグでさらに磨かれ、初挑戦のスーパーラグビーでも暴れたいと思っている。
「スーパーラグビーは子どもの頃からよく見てました。マア・ノヌーとか、ジョナ・ロムーとか、憧れた選手はいっぱいいますね。だから、そこでチャレンジできるのは本当に楽しみ。キャンプではまだ、ムーブやサインプレーなどあまりやってないけど、サンウルブズのプレースタイルは自分に合っていると思います。何人か怪我人が出てるけど、まわりはいい選手ばかり。競争は激しい。自分は練習から、自分のベストパフォーマンスをいつも出すだけです。がんばります」