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日野自動車がドコモ倒し念願のTL初昇格! コカ・コーラは激闘ドローで残留

2018.01.20

1950年創部の日野自動車。歴史をつくった男たち(撮影:早浪章弘)

 ジャパンラグビートップリーグの入替戦が1月20日におこなわれ、今季トップチャレンジリーグで2位だった日野自動車レッドドルフィンズが、トップリーグ15位のNTTドコモレッドハリケーンズを20−17で下し、念願の初昇格を決めた。NTTドコモは1年で下部リーグへ降格となった。
 トップリーグ13位だった宗像サニックスブルースは同じ福岡を拠点とする九州電力キューデンヴォルテクス(トップチャレンジリーグ4位)を40−21で退け、残留決定。トップリーグ14位だったコカ・コーラレッドスパークスは三菱重工相模原ダイナボアーズ(トップチャレンジリーグ3位)に苦しみながらも崖っぷちで追いついて27−27で引き分け、規定により、日本最高峰リーグに踏みとどまった。
 日野自動車が大阪・ヤンマースタジアム長居で歓喜した。
 立ち上がりのドコモの攻撃を耐えた日野は、前半23分にPGで先制すると、29分にはFBギリース・カカのキックパスを右外で受けたWTB小澤和人が、自らもキックを使って内に残ったボールを拾い上げ、インゴールに飛び込んだ。その後、ドコモに5点を返されたが、39分にはSO染山茂範のキックパスをダイレクトキャッチしたWTB篠田正悟がゴールに持ち込み、日野自動車が17−5とリードして前半を終えた。
 トップリーグ残留を目指すドコモも執念を見せ、58分(後半18分)にCTB金勇輝が、67分にはCTB佐藤善仁がトライを挙げ、17−17の同点となる。
 だが、72分、日野が敵陣22メートルラインに近づき、ディフェンス裏へキックを使って攻略しようとしたSO染山に対し、ドコモに反則があり、日野がPGで勝ち越す。
 ドコモはラストアタックで47フェイズを重ねたが、日野の守りは堅く、プレッシャーをかけられたドコモのパスが乱れ、激闘はノーサイドとなった。

奮闘したコカ・コーラの桑水流裕策(撮影:湯浅芳昭)
 福岡・ミクニワールドスタジアム北九州でおこなわれた第1試合も、最後の笛が鳴るまで手に汗握る熱戦となった。
 試合の主導権を握ったのはチャレンジャーの三菱重工相模原だった。前半3分、コカ・コーラの選手が一人負傷で倒れていた状況で、FB中濱寛造が自陣から抜け出し、左外のWTB川上剛右を経由しインサイドでサポートについていたSH西舘健太につないで先制した。13分にはFLダニエル・リンディーの連続トライで14−0とする。
 コカ・コーラはディフェンスのプレッシャーがあまく、イージーミス、コミュニケーションミス、反則などで自滅、劣勢となった。
 17−10で迎えた60分(後半20分)過ぎ、7点リードの三菱重工相模原はキャプテンのLOトーマス優デーリックデニイが中央を抜け出しゴールラインを越えたが、コカ・コーラのWTB吉澤太一がしぶとく絡んでグラウンディングを許さず。NO8山下昂大キャプテンはのちに、このビッグプレーが流れを変えたと語った。
 その後、さらに2度、執念のディフェンスを見せたコカ・コーラは、65分にゴール前中央のスクラムからサイドアタックした三菱重工相模原のNO8ファイフィリ・レヴァヴェにトライを奪われ、14点差をつけられたが、ディフェンスでチームを活性化させたWTB吉澤が69分、今度はステップで魅せて防御網を切り裂き、トライ。7点差とする。
 その後、三菱重工相模原がPGを決めて10点差となったが、コカ・コーラは76分、ショットを狙わずタッチを選択してラインアウトモールで取り切り、5点差。そしてリスタート後、トライが必要なコカ・コーラは自陣深くからボールを回してミスなくつなぎ、フェイズを重ね、CTB南里新が値千金の劇的同点トライを挙げる。直後、ホーンが鳴り、27−27の引き分けで試合終了。コカ・コーラの残留が決まった。
「つかみかけていた昇格、最後でしくじったかなと。79分間、おおむね、がまんを重ねていい試合をしてくれた選手を誇りに思う」と語ったのは敗れた側の佐藤喬輔監督だ。それでも、最後の攻防についてたずねると、「僕らはちょっと消極的だったかなと。がまんを重ねることが目的だったが、結果、どのフェイズも受けてディフェンスをしてしまった。規律を守りながらも強いディフェンスが必要だった……。悔やまれる。コカ・コーラのフェイズを重ねたチーム力はさすがだと思った」と死闘を振り返った。

サニックスのアンドリュー・エブリンハムを必死に止めようとする九州電力の中?憲章
(撮影:湯浅芳昭)
 宗像サニックスは、順位決定トーナメントではディフェンスの改善が勝因となっていたが、この試合でも藤井雄一郎監督は「九電さんはいいバックスがいるし、一発にかけてくることもあるので、絶対に受けに回らないように」と選手たちを送り出した。
 サニックスは前半に5トライを挙げ、相手には7点許したのみで試合を優位に進めた。九州電力は1対1の勝負で止められなかった。
 後半は九電がしぶといディフェンスで執念を見せ、2トライを奪ったが、前半に大差をつけていた宗像サニックスがサバイバルマッチを制した。
 勝った新井信善キャプテンは、「来年もチャレンジできる。反省点を活かして、もう一度上を目指したい」とコメント。
 敗れた九州電力の中?憲章キャプテンは、「ブレイクダウンでいい球出しができなかったり、攻め込んでいるところでボールを失ったりと、力の差を感じるところがあった。ボールを継続できれば、粘り強く持っていればスコアにつながる。いかに自分たちで、相手のプレッシャーに負けないでボールを保持していくか…」と課題をあげながら、悔しさをかみしめていた。
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