19年ぶりの大阪勢対決となった花園決勝を制したのは、東海大学付属仰星高校だった。
第97回全国高等学校ラグビーフットボール大会の決勝が1月8日におこなわれ、3年連続7回目の決勝進出となった東海大仰星高校が大阪桐蔭高校に27−20で競り勝ち、2年ぶり5回目の優勝を遂げた。
2013年度に選抜大会(春の全国大会)優勝の戦績を持つ大阪桐蔭は、それ以来の日本一とはならなかったものの、初の花園決勝進出で奮闘し、新しい歴史を刻んだ。
先制したのは大阪桐蔭だった。雨となり、両チームともハンドリングに苦労した序盤、敵陣深くに入り、ゴール前のスクラムからサインプレーが決まった。前半5分、スクラム最後尾のNO8中野光基からボールが出て、SHの位置にいた15番・杉原駿が内に戻したところ、キャプテンのFL上山黎哉が抜けてインゴールに押さえた。
しかし東海大仰星は9分、自陣深くで相手のパスが乱れてボールを手にすると、果敢に回し、俊足WTB河瀬諒介がタックラーをかわして約80メートル走り切り、流れを引き戻す。
その後、大阪桐蔭にPGを決められ5点を追うことになった仰星だが、24分、キャプテンのCTB長田智希が自陣10メートルライン手前から抜けてゴールまで運び、同点となった。
それでも、ハーフタイム前、仰星が自陣深くのスクラムからボールコントロールを乱すと、大阪桐蔭がターンオーバーしてチャンスとなり、モールを形成して押し込みFL奥井章仁がグラウンディング。大阪桐蔭が7点リードで前半を終えた。
大阪桐蔭は後半8分、CTB江良楓がPGを決め、10点差をつける。
しかし、追いかける東海大仰星は12分、速いバックス展開からWTB河瀬がタテに切り込んで右外にまわったFB谷口宜顕につなぎ、トライが生まれた。さらに21分、CTB和田悠一郎、FB谷口のビッグゲインで敵陣深くに入り、大阪桐蔭のプレッシャーを受けながらもボールをつないで、WTB西村高雅がゴールラインを割って20−20の同点とする。
そしてリスタート直後、仰星は自陣深くからCTB長田キャプテンの力走で瞬く間に敵陣でのアタックチャンスとなり、フェイズを重ね、23分、WTB河瀬が鋭いステップでディフェンダーを振り切って勝ち越しトライ。河瀬はこの日不調だったゴールキックでも加点し、7点リードとした。
大阪桐蔭は試合終了間際、ゴール前のスクラムから攻めて15フェイズを重ねたが、東海大仰星が守り切り、ノーサイドの笛が鳴った。
東海大仰星の湯浅大智監督は激闘後、感涙しながら「生徒を誇りに思う。彼らを信じていたので、本当に嬉しい。子どもたちが成長した。信じること、耐えること、人とつながっていることのすばらしさ、それらがすべて原動力となった。格別の優勝。生徒にありがとうと言いたい」と話し、ひたむきにプレーし続けた選手たちを称えた。
高校日本一になった東海大仰星。栄冠を掲げる写真中央の選手は檜垣大宇(撮影:毛受亮介)