ラグビーリパブリック

ヴィンピー・ファンデルヴァルト、外国人との日本代表争いも望むところ?

2017.12.31

豊田自動織機戦でトライを決めるドコモのヴィンピー・ファンデルヴァルト(撮影:宮原和也)

 28歳のヴィンピー・ファンデルヴァルトは、NTTドコモラグビー部の看板選手の1人だ。
 今季で加入5年目。肉弾戦という肉弾戦へ身長188センチ、体重106キロの身体をぶち当て、防御を引き締める。
 加盟する日本最高峰のラグビートップリーグは順位決定トーナメントへ突入した。
 今季下部リーグから2度目の昇格を果たしていたNTTドコモは、16チーム中8位タイの6勝を挙げながらも参加するレッドカンファレンスで8チーム中7位に終わった。そのためトーナメント戦では、最下層4チームによる山へ移る。ここでトップになっても下部との入替戦進出は避けられず、レギュレーションが生んだ理不尽を問う声は高まっている。
 関係者の話を総合すると、就任2シーズン目となる南アフリカ出身のダヴィー・セロン ヘッドコーチのミーティングの内容は「状況に惑わされるな。自分たちはいいチームだ」というものだったらしい。1月6日からのバトルは、存在価値の証明のためにあろう。つば競り合いが重なること必至の一発勝負において、LOに入りそうなファンデルヴァルトの存在感は高まるばかりか。
 南アフリカ出身のファンデルヴァルトは、今季、飛躍を遂げたと言える。11月には初めて日本代表に選ばれ、テストマッチデビューを果たしたのだ。
「光栄でした。楽しみました」
 同月25日には敵地ナンテール・Uアリーナで、自身3キャップ目にあたるフランス代表戦を23−23と引き分ける。その一戦をこう振り返るあたりに、ナショナルチームのメンバーとしての矜持をにじませた。
「あそこまで互角に戦えていて勝ちきれなかったのは残念。次、同じ局面になった時にどうすべきかを学べたのがよかったです。あの日は1、2回のチャンスを逃していたので、そこでもっとどん欲に…」
 NTTドコモでの順位決定戦や入替戦を終えると、国際リーグのスーパーラグビーへ参戦する。かつて南アフリカのキングズやブルズなどに加わってプレーした舞台へ、今度は日本のサンウルブズの一員として挑む。
 サンウルブズは日本代表と戦術やスタッフを共有しつつ、世界中から名手を集めている。ファンデルヴァルトは、加入の背景とその後の展望をこう語っていた。
「ジャパンでプレーしたい。そのためにはサンウルブズに参加しなくてはいけない。そう思いました。サンウルブズはいい選手が揃っているので、お互いのためにプレーをして、ファンに味方をつけるのが大事です」
 来季以降、サンウルブズのサム・ワイクスら多くの海外出身LOが相次ぎ日本代表入りへの資格(当該国居住3年以上)を得る見込みだ。
 そうなればファンデルヴァルトの立場も安泰ではないが、当の本人は「競争によって、各々のレベルが上がると思います。そこが楽であれば気が抜けるので、そういうプレッシャーも必要です」。2年後のワールドカップ日本大会へ向け、緊張感を維持したい。
(文:向 風見也)
Exit mobile version