日本最高峰リーグ残留を目指す下位チームの戦いも、熱闘の連続だった。ジャパンラグビートップリーグは12月24日にレギュラーシーズンの最終節を迎え、自動降格・入替戦に関わってくる13位〜16位決定トーナメントを回避したのは、クボタスピアーズ(レッドカンファレンス)と豊田自動織機シャトルズ(ホワイトカンファレンス)だった。
クボタはNTTドコモレッドハリケーンズと勝点、勝利数とも並んでいて、この日先に東京・秩父宮ラグビー場で試合をおこなったドコモが、NECグリーンロケッツに16−13で逆転勝ちしていた。
ドコモは13−13で迎えた試合終了間際、敵陣深くでのラインアウトをスチールされ、チャンスは消えたかに思われたが、その後、あきらめずに奮闘して、敵陣22メートルライン中央付近でスクラムチャンス到来。押して相手の反則を引き出し、SOリアン・フィルヨーンがPGを決め、勝利をつかんだのだった。
これで負けられなくなったクボタは、同じく千葉を本拠地とするNTTコミュニケーションズシャイニングアークスとフクダ電子アリーナでダービーマッチをおこなった。
前半の16点リードは後半徐々に点差を詰められ、67分(後半27分)にはノックオンから攻め込まれ、NTTコムのCTB溝口裕哉がディフェンス裏に蹴ったボールをWTB鶴田諒が確保してLOヴィリー・ブリッツにつなぎ、3連続トライ。SOエルトン・ヤンチースのゴールキック成功でNTTコムが逆転した。
しかしクボタは71分、キャプテンのCTB立川理道が敵陣深くのスペースに蹴ってCTBライオネル・マプーを走らせ、スピードで相手にプレッシャーをかけたマプーがバウンドボールを確保してトライを奪い、再逆転に成功する。
終盤、NTTコムがゴールに迫ったがクボタは耐え、23−17で熱闘を制した。
ホワイトカンファレンスの6位・7位を争っていた豊田自動織機は、勝点・勝利数で並んでいた宗像サニックスブルースと福岡・ミクニワールドスタジアム北九州で直接対決をおこない、17−15で逆転勝ちした。
後半早々のSOサム・グリーンのトライなどで10−3とリードした豊田自動織機だが、56分(後半16分)にNO8ピーター・キムリンがハイタックルで10分間の一時退出となり、直後、サニックスのWTBカーン・ヘスケスに10メートルラインからの突破を許してトライを奪われ、同点にされた。
元日本代表であるヘスケスの、2015年ワールドカップ・南アフリカ戦を思い出させるようなコーナーへのダイブで流れを変えたサニックスは、さらに60分、敵陣22メートルライン左手前のラインアウトモールからPR石澤輝がショートサイドを突破し、ゴール前で捕まったが、サポートについてきたFL下山翔平がピックアップしてインゴールに押さえ、逆転した。
5点を追い、同点でも得失点差で上回る豊田自動織機は79分過ぎ、FWのピック&ゴーでゴールラインを越えたが、サニックスはグラウンディングを許さない。それでも、フルタイムを報せるホーンが鳴ったあとの攻防は4分以上続き、最後、織機14年目のLO松岡毅がゴール前のピックアップから突っ込んでインゴールに押さえ、劇的な逆転ゲームで豊田自動織機が歓喜した。
13位〜16位決定トーナメントには、NTTドコモと宗像サニックスのほかに、レッドカンファレンス最下位の近鉄ライナーズと、その近鉄に24日の最終節で敗れ13戦全敗でリーグ戦を終えたコカ・コーラレッドスパークス(ホワイトカンファレンス)が参戦する。
この4チームによるトーナメント戦で16位(総合順位:最下位)になったチームは自動降格となり、13〜15位は入替戦に進む。
総合順位を決める各トーナメントの1回戦(1月6日)の組み合わせは以下のとおり。そして、その勝者同士、敗者同士が最後に戦い、総合順位が決まる。
■日本選手権 兼トップリーグ優勝決定トーナメント準決勝(大阪・ヤンマースタジアム長居)
・トヨタ自動車 vs パナソニック
・サントリー vs ヤマハ発動機
■5〜8位決定トーナメント1回戦(東京・秩父宮ラグビー場)
・神戸製鋼 vs リコー
・東芝 vs NEC
■9〜12位決定トーナメント1回戦(福岡・ミクニワールドスタジアム北九州)
・クボタ vs キヤノン
・NTTコム vs 豊田自動織機
■13〜16位決定トーナメント1回戦(愛知・パロマ瑞穂ラグビー場)
・近鉄 vs 宗像サニックス
・NTTドコモ vs コカ・コーラ