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山下体制の象徴的存在? 早大「8」は下川甲嗣。「チームで一番、走る」。

2017.11.22

筑波大戦で力強く前進する早稲田大の下川甲嗣(撮影:松本かおり)

 就任2年目の山下大悟監督は、1年生の下川甲嗣をチームの中心と目しているようだ。今季、加盟する関東大学対抗戦A開幕後にこうコメントを残している。
「非常に責任感のあるプレーをしています。レッグドライブの1歩、2歩が次の攻撃に活きていますし、ディフェンスでも(周りへの)声のかけ方から(列をなしての)上がり方まで安定感がある。危機管理というか、危ないと思った時の上がりがいい」
 早大は2008年度以来となる史上最多16度目の大学日本一を狙うにあたり、昨季から山下監督が就任。改革の手立てはその前年から打っていた。不合格の可能性もあるスポーツ推薦制度を活用してもらうべく、採用担当者とともに全国を回ってきた。
 結果、昨季は神奈川・桐蔭学園高主将のSHである齋藤直人、大阪・東海大仰星高で全国制覇を果たしたSOの岸岡智樹らが新人ながら定位置を獲得。今季も主力組には、齋藤や岸岡のようなスポーツ推薦組の新人が名を連ねている。
 その代表格が、福岡・修猷館高出身の下川である。FW第3列の真ん中に位置するNO8として、身長187センチ、体重100キロというトップリーガー級の体躯をフル駆動させる。
 最短距離でスペースに駆け込みパスをもらう、相手を少しずつかわしながら突破を図るなど、ひとつひとつのラインブレイクにも工夫や配慮をにじませる。ちなみに当の本人は春先、こう自己分析していた。
「自分の強みというか、売りはハイボールでの競り合い。ここは伸ばしていきたい。あとは、タックルやブレイクダウン(ボール争奪局面)にいかに低く入れるかが課題になってきます」
 
 入学後間もなかった関東大学春季大会では「大学と高校では、一人ひとりのフィジカルの強さ、コンタクトスピードに違いがありました」と驚きを明かしながらも、その頃に東海大のテビタ・タタフら「大学のなかでもトップの選手」とぶつかったことを「貴重」と捉える。「体格で劣る分、運動量で…」。この時点で早大、もしくは自分自身の生きる道を見出しつつあった。
「ワセダのFL、NO8は、チームで一番、走って、たくさんコンタクトシーン、ブレイクダウンに参加しなくてはならず、その質も求められると思います」
 
 11月23日、東京・秩父宮ラグビー場の慶大戦でも背番号8をつける。関東大学対抗戦A有数の人気カードにあたる「早慶戦」にあって、どんな爪痕を残すだろうか。ピンチとチャンスでの存在感が期待される。
(文:向 風見也)
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