周囲の木々が赤や黄に染まる中でトレーニングがおこなわれた。(撮影/松本かおり)
木々の紅葉が濃くなったこの季節、サクラで沸いた。
セブンズ日本代表候補になり得る選手を招集し、育成・強化を図る、女子セブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)の合宿が11月3日から6日までの4日間、青森・弘前で実施された。同市の運動公園でフィットネストレーニングやスキルトレーニングを繰り返し、高校生からオリンピアンまでの15人が基礎を厚くした。
今回の合宿は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、同市が各国、各競技に対して合宿招致をおこなう中で実現した。すでに台湾の女子ソフトボール、ブラジルの柔道が大会事前合宿をおこなうことになっている。
合宿誘致に尽力したひとり、弘前市市民文化スポーツ部の村田善彦さんは、自身もラグビーマン。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズの秋田大会などにも足を運び、女子ラグビーの魅力を知っていた。
「今回、チームが到着した日には歓迎セレモニーや子どもたちとの交流会がおこなわれました。そして、その様子は地元のメディアに多くとり上げられた。いま、弘前には単独チームで大会に出られる高校がなくなったのですが、こういうことをきっかけに、あらためて弘前でラグビー熱が高まるといいですね」
2025年には青森国体が予定されている。将来的には、弘前に女子ラグビーチームが誕生する夢を持つ人たちの存在もある。今回の合宿実施は、その第一歩か。
今後、女子ラグビーの合宿が同地でくり返される可能性は高い。施設面や、地元の協力体制が整っていることが、その理由だ。
合宿を終えた稲田仁 女子セブンズ日本代表ヘッドコーチは、充実した4日間を終えて言った。
「トレーニンググラウンドとジム、宿泊施設が歩いてすぐのところにある。個々が練習をやりたいときにすぐにやれる環境でした。宿舎も、畳敷きの部屋に数人が泊まるものでしたが、これがいい。普段はホテル泊も多いのですが、選手たちが自分自身で布団を敷いたり、上げたり、掃除したり、そういうことをやるのも必ずプラスになる」
恵まれ過ぎた環境では忘れがちなハングリーさも思い出させてくれた。
また、試合形式の練習の際には地元クラブチーム(男子/スクラップスなど)を中心としたメンバーたちがサポートした。指導陣は、そのレベルにも満足した。コンタクトプレーやスピードなど、強度の高いプレーを見せてくれたからだ。
「(これまでの合宿でも男子チームのサポートはありましたが)手伝っていただける人数が少ないと、すぐに疲れてしまいがちなのですが、今回は人も多く、最後までハードなプレーをしてもらえた。いいトレーニングができました」
指揮官は感謝と充実の表情を見せた。
合宿中には地元ラグビー愛好家のサポートもあり、市内料理店での栄養会も開かれた。テーブルには絶品の地元食材などが並び、選手たちの頬を緩ませた。
次の合宿は、全国的に有名な「さくらまつり」の頃か、ふたたび紅葉の季節か。
サクラセブンズが弘前に、ふたたびラグビーの春を呼ぶ存在になる予感。