ラグビーリパブリック

明大戦でも「ゲインラインバトル」での勝利を。慶大・辻雄康の進化に高評価

2017.10.27

日体大のダブルタックルにも簡単に倒れない辻雄康(撮影:?塩隆)

 慶大3年の辻雄康が、首脳陣の期待に応えている。就任3年目の金沢篤ヘッドコーチ(HC)は、入学以降の辻の進化をこう解説する。
「よくなってきたと思っています。去年まではたまにいいボールキャリー(突進)があるなというところだったのですが、今年はディフェンスでも彼のフィジカリティが活きています。持てる能力を、チームにアジャストしながら出せるようになってきました」
 10月15日、群馬・高崎浜川陸上競技場。加盟する関東大学対抗戦Aの3戦目で、日体大を49−22で下す。開幕3連勝を飾った。もっとも辻は、昨季8チーム中7位という相手に看板の防御網を破られたことを反省する。前年度の4位という成績を上回るに際し、シビアに課題を見つめる。
「自分たちの強みのディフェンスを80分間通してできず、崩れたところがあった。そこをおろそかにしていたら、自分たちの流れにはならない。次に向け、修正したいです。(それぞれが)横の選手とのコミュニケーションが取れなくなっていた。僅差という焦りからか、接点の近くに人が寄ってしまって、前を見ながらの(立ち位置の)判断ができなくなっていた」
 身長191センチ、体重110キロ。付属の神奈川・慶應高時代から、機動力ある大型LOとして注目を集めてきた。いまでは指揮官の話す通り、防御での献身性で評価を集める。攻防線(ゲインライン)付近でのタックルで強靭さを示したのは、日体大戦時も同じだった。本人は淡々と言う。
「それが仕事だと思うので。フィジカルバトルで、全力でプレーをし続けることを意識しました。いまからでも社会人で通用するような選手になりたいです。LOとして、自分の背の高さを活かした空中戦で誰にも負けないようにする。自分の持ち味はいつでも全力でやることだと思うのですが、それを意識したうえで、ゲインラインバトルで勝つ。それを意識したいです」
 慶大は28日、東京・秩父宮ラグビー場で昨季3位である明大との4戦目をおこなう。「前へ」を伝統的部是とする古豪に対し、辻が挑戦状を出す。
「相手はFWでゴリゴリ来るチーム。そこ(の勝負)で自分たちが負けなかったら、勝ちにつながる。相手のFWを止めて、そのうえでBKのディフェンスラインでも相手を止められたら…」
 勝負の肝に掲げる「FW勝負」とは、辻が「勝つ」と強調する「ゲインラインバトル」とほぼイコールか。黄色と黒のジャージィの背番号4は、ゲームを左右するキーマンになるか。
(文:向 風見也)
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