ラグビーリパブリック

同期に続きドリームチームへ。サクラセブンズ・平野優芽が見る、あらたな夢。

2017.10.02
2000年生まれの17歳。160?、60?。(撮影/松本かおり)
 新たな目標ができたのは、同い年の女子高校生に刺激を受けたからだ。
 10月2日から始まる女子セブンズ日本代表(サクラセブンズ)候補合宿。これは、10月14日、15日に開催されるアジアラグビー女子セブンズシリーズ2017 第2戦、スリランカ大会への強化とセレクションを兼ねたものだ。ここに参加するメンバーのひとり、平野優芽(東亜学園高/カ・ラ・ダファクトリー Rugirl-7)は、先の韓国大会で優勝した後に言った。
「ワールドシリーズ(HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ)でドリームチームのメンバーに選ばれたい」
 2020年の東京オリンピックに出場し、メダルを獲得する大きな目標を持っている。
 それより前に達成したい目標は? そう尋ねたときに返ってきた。
 8月におこなわれた女子ワールドカップ(15人制/アイルランド)でサクラフィフティーンのSHとして活躍した津久井萌(東農大二高)が大会のベストフィフティーンに選ばれた。同じ高校3年生の仲間が大仕事をやってのけたから向上心に火がついた。
 自身はすでに、4月の北九州大会、6月のフランス大会でワールドシリーズの舞台を経験している。しかし、チームとしてのタイトルも、個人的な栄誉もまだ手にしていない。新たな目標ができた。
 小学校1年生のとき、杉並少年ラグビースクール(RS)でラグビーを始めた。祖父と父がラグビーマンだから自然な流れだった。弟も楕円球を追っている。
 小学生の頃からセンス抜群だった少女は、中学2年の途中からRSでの活動と同時にRugirl-7ジュニア(当時)にも加わり、若き才能を育てる女子セブンズアカデミー(日本ラグビー協会)のメンバーに選ばれ、力を蓄えていった。
 高校1年時に太陽生命ウィメンズセブンズ2015 東京大会でMVPに選ばれる活躍で多くの人を驚かせた。決勝で東京フェニックスRCに敗れたが、体重差をものともしない低く激しいタックルと、スペースを見つける目、鋭いステップ。あどけない顔で線も細かったが、15歳の可能性が人々の心をつかんだ。
 あれから2年少し経って、平野はたくましくなった。
 代表スコッドでのトレーニングと個人的な鍛錬を真摯に重ねた結果だ。見るからに筋肉量が増えた。
 先の韓国大会でも、その変化はプレーにあらわれた。優勝はしたものの、決してラクな戦いではなかったから「アジアのチームが相手でも厳しい戦いばかりでした。これまでは(ワールドシリーズ等で)世界にチャレンジする立場だったけど、今回は勝たなければいけないという側に回って、守りに入ってしまった」と反省を忘れなかったが、自身のプレーについては変化を感じていた。
「体のサイズはあまり変わらないのですが、相手との接点で、以前よりは強くなったかな、と感じます。オフロード(パス)とかをやれるのも、そのお陰だと思う」
 ただ、世界のトップ国と対等に戦い、勝てるようになるのが目標だから、「ニュージーランドとか強豪国にも同じようなプレーができないといけない」と厳しい目を自分に向ける。その先に、ドリームチームに入る日がやってくる。
 韓国では防御時にスイーパー役を務め、抜けてきた相手を一撃で止めることもあれば、手が届いた足を決して離さずにしがみつき、前進を阻止するシーンもあった。
「ラグビースクールのコーチに教わったことをやり続けた結果です」
 しっかりした基礎があるから、吸収力も高い。これからもっと世界を経験すれば、進化のスピードはもっと高まる。
 女子セブンズNZ代表として若き頃から才能を発揮するアスリート、タイラ・ネイサン ウォンを目標とする。世界のドリームチームに入るためには、その憧れの人をライバルに見据えて、成長のスピードをさらに高めるしかない。
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