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「和製マッケンジー」の吉澤太一、未勝利のコカ・コーラで勝負の季節。

2017.09.29

ディフェンスを切り裂くコカ・コーラの吉澤太一(撮影:Hiroaki. UENO)

 楕円の球を脇に抱えながらの細やかなステップ、タックラーをすり抜ける際のボディーバランス。
 日本最高峰トップリーグのコカ・コーラに所属する吉澤太一は、同リーグのオフィシャルファンブックで「和製ダミアン・マッケンジー」と記載される。ニュージーランド代表定着を目指す、若きランナーを引き合いに出されたのだ。
 身長175センチ、体重80キロの26歳だ。前年度の先発機会はわずかに3試合も、今季は開幕から5戦連続でスターターを務める。かねてチームの山下昂大主将に「吉澤が安定してきて、ボールを渡すと何かやってくれると期待できるようになっています」と期待されていた通り、WTB、FBの位置でスタンドを沸かせる。
 アール・バー新ヘッドコーチのもとで好アピールができたからか。本人は、いまの充実ぶりをこう口にする。
「アタックは春シーズンから通用していたので、その面が自信になってきているのかなと思います」
 埼玉・正智深谷高を経て、地元の同・熊谷市にキャンパスを構える立正大へ入った。6季ぶりに関東大学リーグ戦1部へ復帰したラストイヤーは、主将を任された。クラブは同年6月中旬から約1か月間、活動を自粛も、最後は1部残留を決めた(現在は2部)。
 そしていま。コカ・コーラで長らく不完全燃焼のシーズンを送っていた吉澤が、悔いなき日々を送っている。
 4季目を、勝負のシーズンと位置付ける。
「1、2、3年目は怪我が続いて、チームに何も貢献できていなかった。4年目は、『今年こそ』という気持ちがだんだん強くなっているかもしれない」
 最後尾のFBにはリコーから加入のピータース ダニエル、仕留め役のWTBには副島亀里ララボウ ラティアナラや築城昌拓といった7人制日本代表経験者など、ライバルは多い。それでも吉澤は、赤いジャージィを手放さない。チームはここまで未勝利と苦しんでいるが、はじける攻撃には確かな手ごたえをつかんでいる。
 9月30日には静岡・エコパスタジアムで、こちらも開幕5連敗中のキヤノンと激突する。結果を出したい。
(文:向 風見也)
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