184?、88?。大学時代に学生セブンズ代表に選ばれたこともある。
(撮影/松本かおり)
喜びを爆発させるセブンズ韓国代表の姿を全員で見つめていた。
2017アジアラグビー・セブンズシリーズの第2ラウンド、韓国大会で男子セブンズ代表が準優勝に終わった。ファイナルで地元代表に12-17と敗れた。
好敵手・日本に勝って熱気が充満したスタジアム。その一角でサクラのエンブレムを胸に戦った男たちは、次戦のスリランカ大会へ向けての闘争心を?き立てるためにも、韓国が表彰されるシーンを目に焼き付けた。
その中に本村直樹の姿もあった。
青森・八戸高校から筑波大を経て、Hondaに入社して2年目の25歳。セブンズ代表にはセブンズ・ワ−ルドシリーズ2016-2017のラスベガス大会から4大会参加し、2020年の東京オリンピック出場を目指す。「チームのGMに(セブンズ代表の活動に)行けるものなら行かしてほしい」と自分の意志も伝えている。
セブンズ代表に加わって8か月ほど。最初は分からないことも多かったが、時間が経つにつれて意識が変わってきた。
「ワールドシリーズが終わった頃から新たな学生選手も加わったので、引っ張っていく立場にならないといけないな、と」
プレーも進化を遂げている。
今季のアジアセブンズシリーズの第1ラウンドでは、初日の3試合でトライを決められなかった。そのとき、「WTBとして自分の役割を果たせていない」と考えた。
「その大会の2日目は全試合でトライを取れたのですが、声を出すようにしたことで状況が変わったんです。余っているときだけ(声を出して味方を)呼ぶのではなく、どんどん声を出して周りを動かし、自分からボールをもらいにいくようにしたらうまくいくようになったし、ボールタッチも増えました」
韓国大会でも1日目の3試合すべてでトライを決めた。
「普段、声でチームをまとめてくれる坂井さん(克行/豊田自動織機)が今回はいないので、大さん(小澤主将)や橋野さん(皓介)任せにするのでなく、自分からどんどん声を出していきました」
自身の成長の度合いを知るのに恰好の存在がいる。Hondaの先輩、レメキ ロマノ ラヴァだ。
リオ五輪で世界4強を実現したセブンズ代表の一員でもあり、Hondaでもバックスリーの中核となる人。お手本かつライバルのアスリートは、自分を高めてくれる。
「体のメンテナンスとか、見ていてプロだな、と思います。リカバリーも凄く丁寧です。そしてプレーも凄い。チームでの練習でトイメンになることもあるのですが、勝負して勝てないことも多い」
そんな人と時間をともにする機会を成長につなげたい。
「そこで勝てるようになったらチームでレギュラーにもなれると思っています。マノさんはスペースがなくても勝負できますが、自分はスペースがある方がプレーしやすい。そういったタイプの違いはありますが、得意な間合いじゃないところでも勝負できるようにならないといけない」
筑波大で同期だった福岡堅樹(パナソニック)は、ジャパンやサンウルブズで進化のスピードを上げている。周囲には、刺激を与えてくれる人が大勢いる。
自分のプレーに脂がのるタイミングで東京オリンピックがおこなわれる。その幸運を活かしたい。スポーツの祭典の舞台に絶対立ちたいと思っている。
そのためには成長のスピードを落とすことなく歩み続けることが大切だ。
「セブンズで高めたことをチーム(Honda)にも還元する。そういう結果を残すことが、代表に参加できる機会が増えることにつながると思っています。セブンズをやることで、『いまいける』というような勝負勘は高まったと思います。自信もついて、積極的にプレーできている」
Hondaに戻ったときも、セブンズ代表から渡されるメニューをエキストラで消化している。すべては夢の実現のためだ。2019年のワールドカップが終われば、何名かの選手がきっとセブンズに参戦してくる。その選手たちに負けぬ土台を作り上げたい。
先の韓国ラウンドの2日目。本村はたびたび効果的なランニングを見せたが、3試合に出場もトライを挙げることができなかった。シンビンにもなった。アジアでの戦いでも簡単に勝てる試合などない。相手の勢いに飲み込まれることもある。
あらためて思う。ラグビーは難しい。
チャレンジと成長は続く。