優勝したヘイスティングスボーイズ高校の切り札、キニ・ナホロ。(撮影/西尾建)
パーマストンノースで9月8日〜10日に開催されていたニュージーランド高校全国大会で、ヘイステイングボーイズハイスクールが優勝した。来春のサニックスワールドラグビーユース交流大会へ出場する。
ニュージーランドの高校の全国大会は、ニュージーランド4地区(北島3校、南島1校)を勝ち抜いた4校でおこなわれる。ファーストXV決勝には、準決勝でサウスランドボーイズハイスクールを49-0で圧勝したハミルトンボーイズ高校(BH)と、オークランドの強豪セントケンテイガンを29-10で破り、昨シーズンからここまで引き分けをはさんで20試合負けなしのヘイステイングスボーイズハイスクール(BH)が進出した。
決勝戦では、前半3分、ヘイスティングスBHがキニ・ナホロ(NZ高校代表/オールブラックス、ワイサケ・ナホロの弟)のトライで先制するも、ハミルトンBHがトライで逆転。しかし、前半最後のプレーでヘイステイングスBHがゴール横にトライ。15-14とリードして前半を終えた。
後半はPGを1本ずつ決める流れで進んだ。そして、勝負が結したのは後半34分だ。ヘイステイングスBHはスクラムから中央にトライで奪って突き放す。25-17と差を広げ、そのまま勝利した。
敗れはしたが、よく粘ったハミルトンBH。日本からの留学生、SH森崎陸も後半途中からピッチに立ち、チームの戦いに貢献した。
同大会でもハミルトンBHのほか、共学の部のランギトトカレジッジにも日本からの留学生が出場するなど日本からニュージーランドへ留学する高校生も増えている。それについて、大会で準優勝するとともに世界中からも留学生を多く受け入れるハミルトンBHのナイジェル・ホサム監督にラグビー留学について話を聞いた。
↓決勝に後半から出場のハミルトンボーイズ高校の森崎陸。(撮影/西尾建)
◆世界のあちこちから留学生。
−−近年日本からもニュージーランドへラグビー留学が増えていますね。
「ニュージーランドではグラウンドなどのインフラやコーチングなどラグビーを学ぶには最高の環境があります」
−−日本以外では、どのような国の留学生が来ていますか
「日本をはじめアジアからは香港やマレーシア、欧州ではフランス、イングランド、アルゼンチン、チリ、そして近いところではフィジー、トンガ、サモアなど世界中からラグビーを学びに来ています。昨年は短期ですが中国U18代表も来ました」
−−日本とニュージーランドの高校生の違いは
「ニュージーランドの選手と比べて、日本の選手はゲームの中で自分で判断する能力が低いように思えます。おそらくコーチングも影響していると思います。ニュージーランドでは、ゲームの数も多くゲームの中で選手の自主性を重視したコーチングをする。選手の判断能力を向上させることができます」
◆NZのコーチは選手のサポート。
−−環境の違いもありますね。
「ニュージーランドでは日本と比べて公園やフィールドが多くあるので、小さい時から家の裏庭、公園、昼休み、放課後など、遊びの中にラグビーが入っています」
−−ハミルトンBHに来た関東スーパーラグビーの生徒たちと話してみると、練習時間とコーチのアプローチの違いを感じているようです。
「練習時間はかなり違うようですね。これは仕事での長時間労働など文化の違いもあるようです。親のコミットメントも両国で違いがあるようです。練習に関しては集中力が重要で、1回の練習は90分を超えません。また監督のアプローチは、あくまで選手のサポートです」
−−ハミルトンBH独自の特徴は。
「ラグビープログラムの学生は、ファーストXV(トップチーム)のフィジカルトレーニングに帯同でき、選手に合わせたトレーニングプログラムを作成、レビューしていきます。またスポーツアカデミーでは、スポーツに関する講義も行います。練習にはオールブラックスやワイカト州代表のOBもよく教えに来てくれます。タウエラ・カーバロー、ジョー・ウエバーなどがスキル練習を手伝ってくれることもあります。アカデミック(勉強)に関しても生徒にあわせたカリキュラムで対応しています。皆さんがニュージーランドでラグビーを楽しんで学んでくれることを歓迎します」
◆今年はファイナリスト2校の力が抜けていた。
−−高校決勝戦については?
「最後の最後まで粘ったのですが。タイトルを取ってサニックス(大会)に行きたかったのですが」
−−個々には
「決勝戦はキャプテンのクィン・トゥパエアがケガで出場できなかったのが痛かった。彼はプレーヤーとしてもですが、ラインをマネジメントして来たのでバックラインのリーダーシップと細かいデシジョン(意思決定)にもかなり影響は出ました。」
−−ヘイステイングスは昨シーズンからこの大会まで負けなしでしたね。
「今年のヘイステイングスは昨年のほとんどのメンバーが残り特別なチームでした。うちもハードな練習を重ねました。スーパー8(北島の男子校によるリーグ)のリーグ戦では16-20で敗れましたが、決勝は12-12でした。今大会の.決勝も試合終了前まで17-18とほぼ互角の勝負。準決勝の戦いを見ても、今年は我々2校のレベルがどれだけ高かったかがわかります。NZ高校代表候補には、うちから5人、ヘイステイングスからは9人選ばれています」
−−来シーズンに向けては>
「来シーズンはうちでしょう(笑)。いつまでも泣いていられません。これから新たなスタートです」
同会場で開催された共学大会ではワイカトのセントピーター高校が、女子はセントマリー高校が優勝を飾った。
(リポート/西尾 建)