ラグビーリパブリック

「きょうは行くよ」。NTTコム、東芝の猛攻耐えて今季初勝利!

2017.08.27

マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたNTTコムの小倉順平(撮影:?塩隆)

<ラグビートップリーグ 2017-18 第2節>
NTTコム 25−14 東芝
(8月25日/東京・秩父宮ラグビー場)
 前年度9位も過去5回優勝の東芝では、FLリアム・メッサム、WTBコーリー・ジェーンといったニュージーランド代表経験者が「ノーパニック」「ディシジョン(いい判断を)」と連呼していたという。
 それでも4点リードで迎えた前半終了間際、好機に落球するや敵陣の深い位置から一気に走られ、10−7と勝ち越される。後半10分に持ち前の縦突破を重ね10−14と再逆転も、以後は攻め込んでボールを手放すという繰り返し。17、23、34分と失点し、今季初黒星を喫す。
 瀬川智広監督は「あれだけボールを落とせば、攻撃の機会はない」。スクラムと防御で身を粉にしたPR浅原拓真はこう反省した。
「あれだけミスが多いと、自分たちのラグビーがどうのと言えるレベルじゃないです」
 かたやNTTコムは、惜敗した前節が消極的だったとし、キックオフ早々に自陣深い位置からパスを回す。SO小倉順平の述懐。
「きょうのNTTコムは行くよ、というメッセージになった…。勝てたのでそう言えるんですけど」
 東芝の前に出る防御の裏へ短いキックを放ち、好機を探る。FLメッサムやWTBジェーンに圧力をかけられても、必死に球を保持。再三、タッチライン際のスペースを割く。
 
 力攻めで魅す東芝に何度も差し込まれるが、FL金正奎主将は「タックルしたらすぐ立つ。落ち着いて守れば大丈夫」。東芝が再三のエラーにいら立つかたわら、活力を保った。
 スコアを15−14とした後半17分のトライは、中盤左のこぼれ球をSO小倉が拾ったのがきっかけだ。
 その左にあった空間を、CTBブラッキン・カラウリアヘンリーがえぐる。ラストパスを受けとどめを刺したFL金は「勝ちたい気持ちが、態度やプレーに出た」。対する瀬川監督を悔しがらせた。
「選手が勝手にプレーを止めたり、守備の(マークなどの)受け渡しを最後の最後にしていなかったり…。チームとしての甘さがあった」
 敗れたSH小川高廣いわく「1対1で勝負すれば絶対にウチが強いはず」という東芝だが、18−14とされていた後半28分ごろ、敵陣ゴール前右のモールから球を失う。
 続く32分には、それまで優勢だったスクラムでPR浅原が「(足元が)滑った」と後手を踏む間、反則を取られる。
 ノーサイド直前には、向こうのNO8アマナキ・レレイ・マフィのビッグタックルから自陣での攻撃権を消失。途中出場のCTBシェーン・ゲイツにだめを押された。
 クライマックスの心理状況を、SH小川はこう振り返る。
「焦りはなかった。早くトライをと、急いではいましたけど」
 7季ぶりに復帰した指揮官のもと蘇生を図る老舗の元王者と、リーグ参戦8季目にして加速度的に成長する挑戦者との80分。戦前からの期待通りの接戦となった。FL金の語る勝因がその実相を切り取った。
「全員がシステムを信じ、1パーセントでも相手を上回ろうとしたことが結果につながった」
(文:向 風見也)
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