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女子W杯で15年ぶりの歓喜、未来につなぐ勝利! 日本は香港下し11位

2017.08.26

20歳のスピードランナー、堤ほの花。香港戦ではトライも挙げた(撮影:出村謙知)

 目標のベスト8には届かなかったが、負傷離脱者や歴史を築いてきた先輩たちの思いも胸にチーム一丸となって奮闘したサクラフィフティーン(女子15人制日本代表)が、世界最高峰舞台の女子ラグビーワールドカップで15年ぶりに勝利を挙げた。大会最終日となった8月26日、ベルファスト(北アイルランド)のクイーンズ大学で女子香港代表との11位・12位決定戦に臨み、44−5で快勝した。
 日本が女子ラグビーワールドカップで勝ったのは、1994年大会のスウェーデン戦、2002年大会のオランダ戦に続いて3勝目となった。
 世界ランキングトップ10以内のフランス、アイルランド、オーストラリア、イタリア相手に果敢にチャレンジしたものの、壁を越えられなかったサクラフィフティーンは、キャプテンの齊藤聖奈を中心に「次のワールドカップでベスト8に入るために、次につながるようなラグビーをしよう」と話し、香港戦に臨んだ。
 開始早々、ブレイクダウンのターンオーバーからテンポよくボールを継続してFB清水麻有が先制する。12分には自陣でのスクラムから左へ大きく展開し、快足のWTB堤ほの花が約50メートルを走り切った。
 初出場で初勝利を目指す香港にやや押され気味の時間帯もあったが、35分にはスクラムでターンオーバーしたあと、展開からWTB堤のゲインで敵陣深くに入り、連続攻撃、右へ回してWTB加藤あかりがトライを挙げ、15−0で前半を終えた。
 後半早々にもFB清水がファイブポインターとなり、点差を広げた日本。53分(後半13分)に香港にトライを許したものの、のちにプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれるNO8高野眞希などの活躍により流れを呼び戻し、61分にLO櫻井綾乃がピック&ドライブでインゴールにねじ込むと、66分には開幕戦以来の出場となったCTB冨田真紀子がトライを決め、32−5とした。
 79分に再びLO櫻井がパワープレーで追加点を獲得。そして最後は、FL鈴木彩夏がハーフウェイから軽快なステップで相手を振り切ってゴールへ駆け抜け、途中出場のFB田坂藍がコンバージョンキックを決め、サクラフィフティーンは歓喜の抱擁を交わした。
 「最後に勝てたことは素直に嬉しい」と齊藤キャプテン。しかし、ボールキャリーなど課題も残ったと認める。「タイトなスケジュールのなかで戦ってきて、選手たちで話し合い、修正しながらチームを作ってきた。コーチ陣に言われる前に選手だけで修正できたことは、成長できたし収穫でもある。ワールドカップという大きな舞台では、チャンスでトライをとれるかどうかが勝敗のターニングポイントだとわかった。今回の経験を次のワールドカップに活かして欲しい。これからも常にベストな力が出せるように頑張りたい」とコメントした。
 有水剛志ヘッドコーチは、「ゲームのなかで勝負のポイントをどうやって自分たちのものにするかどうかだが、後半はものにできたと思う。相手の流れがあったり自分たちの流れがあったりと、80分間さまざまな場面があるので、そういった時に駆け引きがしっかりできて、ゲームをコントロールすることが重要。今回のワールドカップではそれを経験することができたので、今後も継続してできるようにしたい。チームとして、次のワールドカップにつなげていきたいと思う」と語り、未来を見据えた。
 新たな歴史を刻んだサクラフィフティーンは28日に帰国する予定。
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