ラグビーリパブリック

東芝復活へ。副将就任の湯原、「リーダー気質のある若手と言い合って…」。

2017.08.23

NEC戦でモールドライブする東芝の湯原祐希(撮影:松本かおり)

 日本最高峰のトップリーグで過去優勝5回も前年度は16チーム中9位だった東芝では、7シーズン前まで同職だった瀬川智広監督が復帰。8月19日、東京・秩父宮ラグビー場でのNECとの開幕節を20−0とシャットアウトした。雷雨のため前半終了から1時間以上も試合を中断していたのを受け、指揮官はこう振り返った。
「我々スタッフは雷雨になることを早いうちから予想をしていて、中断中のリカバリー、トレーニング(の手順)について、コーチングスタッフ間では共有していました。前半20分あたりで、僕とチームのマネージャー間では雷の情報などについてやりとりもしていた。ですので、慌てることなくできた」
 選手サイドの体制も、刷新した。元ニュージーランド代表のCTB、リチャード・カフイが主将に就任し、副将には1人が昨季まで主将だった森田佳寿が入った。
 そしてもう1人は12年目の湯原祐希。本人にとっても驚きの人事だった。
 流経大から東芝入りした湯原は、身長173センチ、体重108キロと決して大柄ではないなかスクラムの要として活躍。日本代表としても22キャップを誇り、4年に1度のワールドカップにも2011年のニュージーランド大会から2大会連続で参加。特に2015年のイングランド大会時は、出場機会こそなかったものの出場選手のスクラムワークへの密なアドバイスでチームを底上げ。歴史的3勝を間近で経験してきた。
 今年33歳となった湯原は、国際舞台とは距離を置きながらも東芝で7年目の森太志ら中堅や若手と切磋琢磨。今季も低迷脱却に力を注ぐつもりだったが、指揮官から副将就任を打診された時は、やや熟慮が必要だったようだ。
「この年だから、別に役職がなくたって言いたい意見は言える。副将は若い選手に経験させるのがいいと思ったんです。何人か、候補者の名前は出しましたよ」
 もっとも、湯原の提案は「却下」された。名前の挙がった選手に問題があるのではなく、今季の副将が湯原でなければならなかったからだろう。一緒に副将になった森田は、主将時代にこんな話をしたことがある。
「練習中のチームの温度を感じる力があって、それを高められる。ちょっと声をかけるとか、自分からのアクションをするとか…。本当にちょっとしたことをするだけなんですけど、それがリーダーとしては助かります」
 前向きさと率直さを併せ持つシニアプレーヤーの資質は、日本代表キャップ保持者14名、ニュージーランド代表経験者3名というクラブの潜在能力を引き上げられるだろうか。当の本人はこう断じ、今日もグラウンドへ立つ。
「森田とカックス(カフイ)はBK同士。FWだけの練習になったら、(自身は)リーダー気質のある若手とお互いに言いたいことを言い合って、形にする」
 25日は秩父宮で、NTTコムとの第2節を迎える。昨季は同カードを29−34で落として5連敗中の3敗目を喫していただけに、今回は現時点での変革の度合いを示すチャンスとなる。
(文:向 風見也)
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