激しいコンタクトシーンにスタンドが何度も沸いた。(撮影/Hiroaki.UENO)
日中は38度あった。ただ、キックオフの頃(18時)には風が吹いて、うだるような暑さもやや和らぐ。
夕暮れどきの福岡、レベルファイブスタジアムはいい雰囲気だった。
8月5日、宗像サニックスとオークランド代表(NZ)が戦った。『DREAM RUGBY FUKUOKA』と銘打たれたこの試合は、福岡市とオークランド市が姉妹都市で、2016年に締結30周年を迎えたことを記念して実現したものだ。
2019年に日本で開催されるワールドカップ。福岡も試合開催地のひとつだ。2年後には、世界の多くのラグビーファンがやって来る。今回のドリームマッチを最高の雰囲気で包み込むことが、その時に向けての最高の準備となる。そう信じた福岡経済界等の多くの関係者が力を結集して企画、実現に熱を注いだ。スタンドには1万61人のファンが集まった。
試合も互いのチームにとって得るものが多かった。
8月20日に同スタジアムでトップリーグの初戦(対コカ・コーラ)を迎える宗像サニックス。新キャプテンのNO8新井信善主将が率いたチームはLOに元イングランド代表のジェフ・パーリングを得て、セットプレーに安定感が増した。
SO田代宙士が言う。
「FWがいいボールを出してくれる回数が多くなりそうなので、アタックのバリエーションも増えると思います」
この日は最低限のサインプレーしか使わぬ戦い方で臨み2トライだけだったが、シーズンに向けて手応えはつかんだ。
宗像サニックスがWTBカーン・ヘスケスのトライで先制した試合は、前半10-10。最終スコアは31-17でオークランド代表が勝った。勝者は特に後半、激しいコンタクトから防御に綻びを作り、鋭くトライラインを越えた。敗れた新井主将は、「接点の強さを感じました。そこに自分たちが人数を掛けすぎたことでやられた。きょうの反省点を直してシーズンを迎えたい」と話した。
オークランドは若い選手たちで構成したメンバーも、NZ国内州対抗選手権(マイター10カップ)へ向けての選手選考と準備を兼ねていた。LOスコット・スクラフトン主将、NO8ブレイク・ギブソンらスーパーラグビー経験もあるFWがハードに戦い、同国セブンズ代表の経験もあるWTBジョー・ラボウボウが豪快な走りを見せた。
2019年、オールブラックスがワールドカップの事前キャンプで福岡市を訪れてくれたら。同市関係者の多くが、そう願っている。
そのことについて質問を受けたオークランド代表のニック・ホワイト監督は、こう話した。
「施設も素晴らしいが、福岡はラグビー熱があふれている街。それは、オールブラックスが(キャンプ地決定の際の条件として)望んでいることのひとつだと私は思いますよ」
情熱が人を動かす。その力をあらためて感じた大イベントだった。