歴史的な一歩を踏み出した鶴ヶ?好昭は、「環境の変化はほぼないですね」と自然体ながら「率直に嬉しい。気持ちの面で、変わりましたね」とも発した。6月には、史上初めて男子7人制日本代表チーム専任契約になっていた。
普段はパナソニックに在籍する。契約締結後の日々を「(パナソニックの)練習試合にも出たりしているので、何ら、そこまでは変わっていない」と断じた。その一方で、同代表のターゲットであるオリンピック東京大会へ熱い視線を向ける。
「7人制でオリンピックに出たい…という気持ちがあって、それをチームにも言いました。結果、ああいう形になったのだと思います。詳しい契約内容についてはお答えできないのですが、(締結の理由は)僕の意志だと思います」
この契約は、年間150〜200日程度ある男子7人制日本代表の活動へ参加するために、日本ラグビー協会が選手及び当該選手の所属チームと結ぶもの。日本の有力なラグビー選手が在籍する企業クラブが15人制に傾注するなか、男子7人制日本代表が選手の招集をよりスムーズにするシステムとして期待されている。
専任契約によって自覚が高まったという鶴ヶ?は、身長185センチ、体重93キロの27歳。青森・三沢商高を経て入った東海大時代から、持ち前の身体能力が買われてきた。パナソニック入り後は、ラブコールを送ってくる男子7人制日本代表の活動へ積極参加することとなる。国を代表したい思いが一段と強くなったのは、あの舞台に立てなかったからだ。
「リオには最後の最後に行けなかった。それが自分のなかで引っかかっていて…。オリンピック東京大会への勝負に賭けてみようかと思いました」
7人制ラグビーが五輪競技として初めて採用された2016年のリオデジャネイロ大会時は、候補選手になりながら大会前にメンバーから落選していたのだ。
4位入賞を果たしたリオデジャネイロ大会のメンバーを見て、どんな思いを抱いていたのだろうか。
そう問われると、「嬉しさと悔しさ、半分半分ですね」と即答。そしてこうも続けた。
「ただ、悔しい思いがなかったら、いまの僕はないとも思っています」
7月24日から8月2日にかけ、都内でのセブンズ・デベロップメント・スコッドに参加。東京・味の素スタジアム アミノバイタルフィールドなどでの蒸し暑いセッションの合間には、率先して若手に声をかけるなど主軸としての自覚をにじませる。
パナソニックが国内最高峰のトップリーグに挑む9、10月は、男子7人制日本代表としてアジアラグビーセブンズシリーズ2017を視野に入れるだろう。悔しさを原動力に、30歳で迎える東京五輪を見据える。
(文:向 風見也)