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殊勲パス→トライの深層。サンウルブズの山中亮平は、「諦めずに…」と安堵。

2017.07.21

サンウルブズの仲間とともにブルーズ戦勝利を喜ぶ山中亮平(Photo: Getty Images)

 7月15日、最高気温33度の東京・秩父宮ラグビー場。日本のサンウルブズが、国際リーグのスーパーラグビー参戦2季目にして初のシーズン2勝目を挙げた。
 ニュージーランドのブルーズを48−21のスコアで下した80分において、スタンドを沸かせたトライを挙げたのが山中亮平だ。
 7点差を追う後半13分だった。サンウルブズはハーフ線付近中央で、ティモシー・ラファエレのビッグタックル、接点への圧力、さらには松橋周平のセービングでボールを確保。右へ展開した先でボールを受け取ったのが、山中だった。
 ブルーズの防御が揃う前に、サンウルブズの攻撃態勢が整っていた。
 1分前からピッチに立っていた背番号「23」の山中は、目の前のタックラーに視線を送りながらさらに右の松島幸太朗へパス。受け手の松島が防御網の背後へボールを蹴ると、山中もその弾道を追う。
 楕円球は、ゴールエリアへ転々とする。カバーに回った相手選手とサンウルブズのウィリアム・トゥポウが交錯するなか、山中がその球を触る。テレビジョン・マッチ・オフィシャルの判定を受け、山中のトライが記録されたのだった。
 ここでスコアは19−21。以後の逆転劇を導いたこのシーンを、当の山中は端的に振り返った。
「早めに外へパスしたらチャンスを作れると思っていた。そうしたらマツが裏に蹴った。最後まであきらめずに追いかけたのがトライにつながった」
 
 身長188センチ、体重95キロの29歳。長らくSOを主戦場としてきたが、サンウルブズの田邉淳アシスタントコーチの勧めもあり今季はアウトサイドCTBとしてスキルを発揮する。
 2勝13敗に終わった今季を、こう振り返った。
「いい試合をしている日は、自分たちのプレーが出せていたり、ディフェンスがうまくはまっている時。そうでない日は、ディフェンスで迷ってしまっていたり、判断が間違ってしまって抜かれたりした時でしたね」
 早大時代から攻撃力を評価されながら、ワールドカップは2011年のニュージーランド大会、2015年のイングランド大会とも、直前の候補メンバーに選ばれながらも最後は悔し涙を飲んでいる。
 日本代表と連携を強化するサンウルブズへは、チームができた2016年から参加。次回のワールドカップ日本大会は、31歳で迎える。もちろん、悲願のメンバー入りを目指す。
 だから、日本代表の方針で試合ごとのメンバーを入れ替えてきたサンウルブズにあっても「やっているラグビーは、変わらない」。言い訳無用の態度を貫くのである。
「しっかりコミュニケーションも取れていましたし、いろんな選手にチャンスがあるという面ではよかったと思います」
 いまいるトップステージを、そう簡単には降りたくない。今後は神戸製鋼の一員として、8月開幕の国内トップリーグを見据える。
(文:向 風見也)