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「日本一の準備をして、チャレンジ」同志社大学・萩井好次新監督インタビュー

2017.07.13
同志社大の萩井好次監督。今年からチームトップとしてけん引する
 昨年度、第53回大学選手権で11大会ぶりに4強入りした同志社大(関西Aリーグ2位)は、監督が山神孝志氏から42歳の萩井好次氏に変わった。
 萩井監督は現役時代、PRとして同志社大、ワールド(現在は廃部)で活躍。現役引退後は関西学院大で10年の長きにわたり、監督やFWコーチをつとめた。
 昨年からコーチとして母校に復帰。今年から監督として指揮を一任される。
 関西で大学トップ2チームの指揮を執るのは萩井監督が初めてだ。
 西日本で唯一、大学選手権優勝(通算4回)を経験する「関西の盟主」をどう導くのか。チームのこれからを語ってもらった。
 −−同志社大の監督に就任して、半年近くが過ぎました。いかがですか?
 大変です。指導体制も変わり、レギュラーだった4年生がごそっと抜けました。1からチームを作っている感じです。山神さんは1人でやってこられてすごいなあと思います。
※ 山神監督のほか大西将太郎コーチが退任。昨年の先発15人中の4年生はWTB松井千士(現サントリー)ら10人だった。
 −−関西で初めて大学トップ2チームの監督を任せられます。
 役職としては重いことをさせてもらっているという実感はあります。ただ、意図して今があるのではありません。結果としてそういう形になっているだけ。今は、同志社の監督として、どうチームを作っていくか、ということに集中しています。
 −−関西学院大での10年間はご自身のコーチングにどう生かされていますか?
 チームのいろいろな時期を経験させてもらえました。強くなる過程、強くなった時、もがいた年もありました。それらは、自分の中で生きています。そういう経験をさせてくれた関西学院大に感謝しています。
※ 萩井監督の関西学院大時代の2005〜2014年のリーグ戦成績は6、5、5、1、1、2、5、3、4、1位。監督だった2012年は3位。
 −−その関西学院大とはリーグ戦の開幕日(9月30日)に当たります。
 やりやすくはないですね。今の4年生は、彼らが1年の時に教えています。一昨年や昨年の成績(8位、6位)はたまたま結果が出なかっただけ。体の強度を増すトレーニングやコンディションの調整は関西でもトップレベルです。牟田至監督は前回就任時に関西リーグで優勝をさせていますし、その時の2年間は私も一緒にさせてもらいました。今回はサントリー出身の若いコーチも入っています。よくないはずはありません。
※ 今年から2期目となった牟田監督の第1期は2007、2008年。成績は5位と1位。
 −−同志社大の学生の気質はご本人の現役時代と比べていかがですか?
 自分たちのころのことは何分昔なので、思い出せません(笑)。ただ、比較をするのはよくないかもしれませんが、あえてすれば、素直で吸収も早いのですが、自己主張をする人間が少ないように思います。それは世代的なものかもしれませんが、私としては、もっと自分たちの意見を持って、主体的に取り組んだ方がよいような気はしています。
 −−プロ監督ではなく、本業を持ったいわゆる「サラリーマン監督」ですね。練習には顔を出せていますか?
 私の仕事は週末が休みではありません。仕事が入るとそちらを優先します。ただ、時間の融通はきくので、練習のある日はできるだけ顔を出すようにしています。春シーズンは平均すれば、週4日くらいは行けました。
 グラウンドレベルに関しては太田春樹コーチがいてくれます。彼の会社が都合をつけて下さって、午後4時にはグラウンドに来られるので、練習はフルにつくことができます。他に大学職員のコーチもいます。彼らとは電話やメールで毎日話をしています。私が1から10までやるのではなく、ある程度任せてやってもらっています。
 サラリーマン監督の利点があるとすれば、仕事とラグビーを両立させる模範を示せることではないでしょうか。学生は4年すれば社会に出ます。その時の目標にはなれている気はしています。
※ 萩井監督はプルデンシャル生命保険に勤務。大阪にある営業所の所長をつとめる。HO出身の太田コーチは近鉄で現役引退する。同社で社業を続けながら昨年から現職。
 −−監督として、強化のポイントを置いているところはどこですか?
 同志社はハンドリングのうまさやランニング能力の高さなど、いい文化があります。それをより生かすには、ボールを持っていないところでのプレー、例えば体を当てたり、タックルだとかのレベルを上げることだと思います。練習ではブレイクダウンの部分に時間を割いています。
 今年はありがたいことに大学側がフルタイムのトレーナーを呼んできてくれました。ラグビー部の専属ではありませんが、ウエイトトレなんかは、数値にこだわって、ランキングなんかも出すようになりました。部内に競争意識が出てきて、「やらんといかん」という感じにはなっています。
 −−今年の目標は?
 日本一の準備をしっかりして、リーグ戦では1試合1試合チャレンジを続けていくことに尽きます。春は早稲田と慶應には勝ったけれど、関西のチームには勝てていません。
※ 早稲田大28−19、慶應大55−40、天理大7−36、7−50(関西春季大会)、京都産業大19−66(関西春季大会)、立命館大28−39、関西春季大会は立教大との定期戦やジャパンセブンズと重なったためBチームで対戦。
 −−最後に監督とは?
 チームを一番下で支える存在だと思います。選手やコーチに活躍してもらうためには、自分のすべてを捧げ、考えなければなりません。だからこそ、チームの中で一番ぶれてはいけないポジションです。ここがぶれればチーム自体がぐらつきます。
◆萩井好次(はぎい・よしつぐ)
 1975年(昭和50)2月25日生まれ。42歳。大阪府東大阪市出身。八尾高でラグビーを始める。ポジションはPR。1994年、同志社大入学。1998年、ワールド入社。2002年度シーズン終了後に現役引退する。その後、2005〜2014年まで10シーズンにわたり関西学院大で指導。2012年は監督を任される。2016年から同志社大コーチ。今年から監督に就任した。家族は夫人と子ども2人。
(取材・構成/村上 晃一、鎮 勝也)
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