日本の報道陣から元気かと問われる。「はい、元気っす」。時間差で、いつもの返事が飛んでくる。
現地時間7月7日朝。国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズが、遠征先の南アフリカからテレビ電話での共同取材に応じる。一番最初に画面の前に来たのは浅原拓真。笑顔を交え、メッセージを届ける。
同1日には、ジョハネスバーグのエミレーツエアライン・パークで前年度準優勝のライオンズに7−94で大敗。8日にはケープタウンのDHLニューランズでストーマーズと第16節に臨むとあって、「次に向かってみんなのマインドセットはできています」と前を向く。
「あのとき(ライオンズ戦)は覚悟ができていなかった。南アにきて戦うのはわかっていたし、ライオンズが強いのもわかっていて、練習でもしっかりできていたんですけど…。ただ、練習に入るときの雰囲気作りとかが、足りなかったですね。もしかしたら、ふわっと試合に入ってしまったのかなというのはあります。スーパーラグビーでは毎週、毎週、テストマッチくらいの試合になるのですけど、それができていなくて、大敗。やられた試合の翌週の入り、態度が大事。ここで、いいチームか悪いチームかが決まると思う。まずは覚悟を持って戦おう、と」
身長179センチ、体重113キロの29歳。サンウルブズへは発足初年度からメンバー入りし、6月には4年ぶりに日本代表ツアーにも参加した。スクラム最前列の右PRとして、今季は長谷川慎スクラムコーチの指導を吸収してきた。
ライオンズ戦では、自身が出場する前にスクラムを圧倒された。FW8人が低い姿勢で塊を作らんとしていたはずが、組み合う高さを大柄なライオンズと同じ位置にしてしまっていた。
前半29分から出場した浅原は「実は対抗できていたところもいっぱいあって、後半は(やるべきことが)でき始めたりしていた」。低さを保てなかった場面では、自分たちが相手の最前列の選手に「持ち上げられていた」と振り返る。
「南アのチームは皆そうなんですけど、持ち上げてくるんすよね。うちらはここで、そこは頑張って低くなるしかない…と。(ストーマーズ戦に向けては)自分たちのセットを信じて、もう1回システムを構築し直した。8人全員で、持ち上げられないようにするイメージですね」
ストーマーズ戦では先発。1人ひとりの役割が決まっているというスクラムシステムをグラウンドレベルで確認しあい、「持ち上げられない」塊を作りたい。
(文:向 風見也)