ラグビーリパブリック

自信も課題も宝。ジャパンセブンズ4強が福岡工業大学にもたらすもの。

2017.07.06
この大会で主将を務めた福岡工大・二宮流生主将。(撮影/松本かおり)
 最後まで粘り、粘った。
 ライバルに逆転勝利。経験豊富な日本代表選手も含む相手にも迫った。
 ラストゲームを終えた二宮流生主将(にのみや・りゅうせい/本来は副将)は清々しかった。
「初めて(セブンズで)九州で優勝して臨んだ大会でした。だから、九州を代表してここに来たプライドを持って優勝を目指していました」
 7月2日におこなわれた『なの花薬局ジャパンセブンズ』で今春の九州セブンズ王者、福岡工業大学がベスト4に入った。
 プールCで戦ったチームは、昨年の国体を制した愛媛県選抜に31-0と完封勝ち。トヨタ自動車には7-43と敗れるも、カップトーナメント準々決勝では、大学選手権でいつも戦う好敵手、朝日大に28-27と競り勝った。
 そして同準決勝ではセブンズ日本代表候補のセブンズ・ディベロップメント・スコット(SDS)と対峙した。先制。逆転されても、後半に入って再逆転してみせるなど粘り、スタジアムを熱くする戦いを見せた(12-21)。
 サイズに恵まれ、トップリーグの激しさが日常のトヨタ自動車にこそ厳しいレッスンを受けたが、体を張ったプレーとひたむきさが好結果を呼んだ。特にSDS戦で光ったのがディフェンスだった。
 長崎南山高校出身の主将が言う。
「アタックでもそうですが、コミュニケーションを大切にしています。攻めるときも守るときも一人ひとりが喋り、いろんな情報をはっきりとやりとりする。特にFW、BK間でもそうすることを大事にしています」
 春シーズン、ディフェンスを重点的に強化してきた。その成果を日本ラグビーの聖地で披露した。
 朝日大学との対戦では気持ちが入った。いつも大学選手権で戦う。この相手に勝たないと、関東や関西の強豪校への挑戦権を得られない。
 2013年度から2年続けて敗れ、大学選手権のファーストステージ止まりだった。しかし昨年度、38-36と久々に勝つ。だからセブンズとはいえ、ふたたび叩いておきたかった。
「みんな気持ちが入っていました。朝日は強いので、そこでは負けてはだめですから」
 大学選手権ベスト8を目標にしている。そのためには絶対に超えなければいけない相手。全員がそう理解していたから、リードされても気持ちが折れなかった。後半2分で7-22の劣勢から逆転した。
 最後はSDSと戦い、「スキルとフィットネスの高さ、スピードを体感した」と話した二宮主将は、トップチームが集まる中で4強に入った自信を感じているようだった。
「15人制でもスペースを見つけ、そこを攻める。外で取り切るラグビーを目指しています。それをやれたのは収穫でしたが、課題もたくさん出た。その両方を持ち帰りたい」
 チームには昨年からソセフォ ファカタヴァ(目黒学院/大東大・ファカタヴァ兄弟の弟)が加わりキーマンとなっている。しかし、パワフルな留学生に頼り切らないチームができつつある。
「普段は僕が12番で、セフィーが13番。彼は確かに凄いけど、彼を軸にした攻撃を組み立てることと、そのオモテ、ウラをうまく使うことでチームが機能しています」
 いい風が吹いている。
 上位に進出する気持ちの表われとして、もともと大会の夜は東京に泊まることにしていた。「どう過ごすか決まっていませんけど」と微笑む顔からは、宮浦成敏監督や仲間とともに喜びを噛みしめる時間を過ごしたい気持ちが伝わった。
 セブンズの季節は、今年はこれで終了。
 春に得た自信を、夏にもっと大きくする。
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