ラグビーリパブリック

ジョセフの知見を組織力アップへつなげる! 帝京大主将・堀越康介

2017.06.09

日本代表キャッパーでもある帝京大主将の堀越康介(撮影:井田新輔)

 大学選手権8連覇中の帝京大で主将を務める堀越康介は、今春、日本代表デビューを飾った。その間、チームを率いるジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(HC)の哲学にインスパイアされた。
 神奈川・桐蔭学園高から入部し、スクラム最前列中央のHOを働き場とする。身長174センチ、体重105キロと決して大柄ではないが、コンタクトの局面へ果敢に顔を出す。3年時からチーム内でのリーダーシップの発揮を意識し、いまは常勝集団の船頭に立つ。
 4〜5月は、若手中心の日本代表として活動した。アジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)でテストマッチ出場を目指すなか、ジョセフHCのある言葉に感銘を受ける。
「それぞれが、自分の仕事を全うしよう」
 日本代表は左右にまんべんなく選手を配し、空いたスペースを攻略するスタイルを提唱する。そのなかで指揮官が強調するのは、ポジションごとの役割の徹底だった。現代表主将の堀江翔太も、「自分の仕事をしようという部分(観点)では、(ジョセフHCは)エディーさんより厳しい」。1日複数回の練習を課していたエディー・ジョーンズ前HC時代も経験したうえで、いまの役割分担の厳格さを語る。
 
 グラウンド内外で「自分の仕事」への忠実さが問われるその組織作りに、帝京大の現主将も感化されたのだ。理念を自分なりに咀嚼(そしゃく)し、マネジメントの参考にする。
「ジェイミーは、一人ひとりが自分の仕事に責任を持とうと常に言われていた。その考えはすごくいいと思い、チームに還元しているところです。スクラムであればそれぞれの役割を全うしよう、ディフェンスであればしっかりとノミネート(位置取りとマークする相手の確認)しよう…というふうに、『一人ひとりの役割を意識しよう』と言っています」
 念願の代表ジャージィをまとったのは5月13日、香港代表とのARC最終戦だった。後半16分に出場し、16−0のスコアで4戦全勝を決める。もっとも大会を通じては、他の先輩選手の陰に隠れた。悔しさも味わった。
 ベストメンバーの並んだ6月のツアースコッドからは、落選。いまは代表指揮官のイズムを所属先で活用しながら、課題克服を目指している。
「自分のいいところも多々あったとは思うのですが、そこでうまくチャンスをもらえなかった。またジェイミーに見てもらえるよう、大学の試合からしっかりとやっていきたいです。ジャパンでは、HOはコミュニケーションが大事だと思いました。堀江さん(ARC第3戦目で途中出場)はすぐにコミュニケーションを取って、攻守のラインを敷いていた。しっかり見習いたいです」
 帝京大は6月11日、現在3連勝中という関東大学春季大会Aグループの4戦目で早大と激突する。目の前の一戦、一戦で「仕事」を全うし、代表の正HO争いに参画したい。
(文:向 風見也)
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