PR細木康太郎、FB黒木陽斗ら主力が不在もチームとしての強さを見せた桐蔭学園。
(撮影/松本かおり)
群馬県開催となった第65回関東高校大会は6月4日に最終日が行われ、Aブロック決勝戦では目黒学院に52−19と圧勝した桐蔭学園が大会5連覇を成し遂げた。
全国選抜大会で優勝、ワールドユース大会でも海外勢に奮闘した同校にとっては、さらに前進した姿を披露する大会となった。また、4大会ぶりにAブロック決勝に進んだ目黒学院も高い攻撃力を印象付け、秋への大きな一歩になった。
キックオフからの10分間が圧巻だった。自陣からしつこく展開して、判断よく左右に展開する。目黒学院もブレイクダウンで圧力をかけるが、素早くリサイクルして前に出る。3分、WTB柴田悠太郎の先制トライの起点は前に出たFWのオフロードパスから。8分にもオフロードを絡ませながら敵陣ゴール前のスクラムを得ると、NO8高田風吾がスクラムサイドを攻略して14−0。試合の入りで一気に主導権を握る。
「選抜、ワールドユースを終えてから、オフロードは練習してきた部分。そこは成果を出してくれた。前半はハマったでしょうね」と桐蔭学園・藤原秀之監督も評価する。
単にオフロードパスを出すだけでなく、無理な局面では封印して、粘って、味方を待つ。その判断力が桐蔭の強さだ。強引にパスを出しても、ノックオンやターンオーバーされれば相手ボールになる。分かってはいても、そこの違いは試合の流れにも左右する。前半だけで5トライ。そのほとんどが自陣からつないだもの。最大風速7?/秒のコンディションだったが、明確な戦い方が感じ取れた。
後半は外のチャンネルに意図的なパスを出してゲインするなど、桐蔭は選抜大会よりも成長面が多い。苦労したラインアウトも工夫して獲得率を上げるなど、上昇ばかりが目立つ戦いぶりだった。
「昨日の初戦(19−9流経大柏)が悪かったので、ファーストタックルは意識しました。そこはよくなったと思います」とHO原田衛主将。
目黒学院NO8ヴェア・タニエラ、CTBヴァカラヒ・シオエリなどの強いコンタクトにもひるむことなく、きちんと1人目が倒したので、3トライは与えたが、傷口は広がらなかった。
敗れた古豪・目黒学院は春の東京都を制した。今大会初戦は茗溪学園を41−5と破るなど高い得点力を披露。どこからでもトライを奪えるチームで、ブレイクダウンも関東新人大会よりも激しさを増している。秋の花園予選への弾みにしたいところ。
「桐蔭学園はさすがに選抜王者という強さでした。まだ足りない部分が分かったし、自分たちが通用するところも見えた。この経験をこれからにつなげていきたい」と目黒学院・竹内圭介監督。
桐蔭学園は藤原監督がチームディフェンスの整備を課題に挙げた。この日のファーストタックルを土台に、組織としてボールを奪えるか。そのレベルが上がれば、魅力的なターンオーバーからの攻撃がさらに生まれそう。グラウンドでの練習で解決するチームだけに、秋の仕上がりが楽しみになる。
(取材・福田達)
優勝の桐蔭学園。前列右から4人目が原田主将、その左が副将のSO田村魁世。
(撮影/松本かおり)