東日本大震災被災児童自立支援プロジェクトである『Support Our Kidsプログラム』の主旨に賛同して来日した元オールブラックスのレジェンド、リッチー・マコウ氏は29日午前、2019年ラグビーワールドカップの決勝戦が開催される横浜国際総合競技場を訪れた。場内の視察を終えると、横浜市の柏崎誠副市長、元日本代表主将のアンドリュー・マコーミック氏、2015年ワールドカップメンバーでサントリーサンゴリアスのSO小野晃征選手とともに、ピッチ内でトークセッションをおこなった。
スタジアムを歩いてみて、マコウ氏はこう話した。
「2年後の決勝戦がどのように素晴らしいものになるのか。今から楽しみです。私自身、ワールドカップの決勝戦を2度戦っていますが、その経験から言えば、決勝戦の雰囲気を作り上げるのはファンの熱気です。2019年も、7万人の満員のファンが興奮に満ちた雰囲気を作り出してくれるでしょう」
マコーミック元日本代表主将は、1999年ワールドカップのウエールズ戦、7万2千人のミレニアムスタジアムに飛び出した瞬間の割れんばかりの大歓声を今でも思い出すと言う。
「日本代表がこの地に立てれば、そんな素晴らしいことはない」
また、現役の小野選手は、「(2015年ワールドカップが)終わってから、ファンが熱狂している映像を見ると、再びあの場所に戻りたい、ピッチに立ちたい気持ちになっています」
2度のワールドカップ決勝戦を主将として経験し、どちらも優勝を手にしたマコウ氏。2011年、母国のイーデンパークでの決勝戦の朝、ホテルで目覚めた時、子どもの頃の夢が実現するんだと感じたと言う。
「いつかオールブラックスになりたいと同時に、ワールドカップの決勝戦を戦えれば素晴らしいなと思っていました。それをふと思い出したのを覚えています」
そしてワールドカップ2連覇を次のように捉えている。
「ワールドカップの決勝戦はラグビーをしている人なら皆が経験したい試合です。それを前にして、プレッシャーで萎縮するのか。それとも最高の観客の前でプレーできることに興奮する気持ちになれるのか。キックオフの笛から80分間で勝者と敗者が決まります。それまでの取り組みが報われるのか、そうでないのか。2度とも、優勝チームの一員になれ、これ以上のものはありません」
28日の夜は横浜でクルージングも楽しんだマコウ氏。これから本番まで、どんどん熱を帯びていくと話す。
「これから2019年に向けて、ラグビーの興奮、期待はどんどん増していくでしょう。ラグビーワールドカップが素晴らしいのは、世界中から集まるサポーターが、敵、味方関係なく盛り上げる7週間にわたるお祭りになる点です。2011年のNZ大会では、オールブラックスが地元に来なかったとしても、その都市に来たチームを応援していたことです。そんな素晴らしいことはない。ラグビーの魅力のひとつであるはずです。だから、ぜひ神奈川の皆さんにも楽しんでもらいたい。スタジアムで最高の祭典を肌で感じてほしいですね」
今秋の11月4日には、横浜国際総合競技場にオーストラリア代表を迎えることも決まっている。本番への大きな経験になるはず。柏崎副市長はこう話した。
「心躍る試合になるでしょうし、多くのファンの方々に来ていただきたい。競技場の外でもイベントをおこなうなど、皆さんが盛り上がれる日にしたいですね。それが2019年につながれば」
ワールドカップ抽選会も終え、世界がターゲットにしている横浜での決勝戦。11月4日のワラビーズ戦こそ、より広く、一般にワールドカップの存在を広める大きな試合になる。イベントも含め、綿密なプランニングが期待される。
(取材:福田達)