5月28日、神奈川・青山学院大学緑ヶ丘グラウンドでおこなわれた、青山学院大学と中央大学によるオープン戦。麻疹(はしか)の影響で活動を一時制限していた中大が、待機後初となるメンバーを固定しての本格実戦で、Aチームが43−38、Bチームが60−26で勝利するなど、元気な姿を披露した。
中大は3月末に部員の麻疹罹患(りかん)が確認され、保健所の指導のもと対応に務めてきた。4月中旬にも新たに罹患している部員が確認されたことで、ゴールデンウィークまで活動を制限していたが、5月8日に再始動。
スタッフ陣の努力もあって部員らは完治。出場予定だった関東大学春季大会(Bグループ)は辞退していたため、この日予定されていた青学大との一戦は、オープン戦としておこなわれた。春季大会の記録上は、青学大の不戦勝となる。
この日、中大のAチームは、38−38の同点で迎えた後半終了間際、勝ち越しのトライを決めて青学大との接戦を制した。
中大出身で、リコーでもプレーした松田雄監督は、「戻ってきて2週間なので、勝ち負けというよりも、みんなが経験を取り戻せるようにやっている次第です」と試合を振り返った。
不測の事態を経験したからこその、好影響もあった。
この日先発したFWリーダーの4年生、LO牧野真也は、再始動時の様子を嬉しそうに振り返った。
「グラウンドの芝も張り替えたばかりだったので、みんな子どもみたいに楕円球を追いかけていました」
練習への取り組み方にも変化があったという。
「それ(活動制限期間)があったぶん、本当に良い集中力で練習ができています。僕が経験してきた1年生からの3年間を見ても、ムラなく集中できていると思います」
今季就任した新ヘッドコーチも新しい風を吹かせている。
近畿大学出身で、現役時代は神戸製鋼やNTTコムでSHとして活躍した中山浩司ヘッドコーチ。試合後、留学経験も豊富なフルタイムコーチの表情は、明るかった。
「今日はみんな元気に、思い切ってプレーできていました。前向きなミスが多かったので、とても良かったです。戦術的な部分も徐々に出していけたので、これから土台を固めるタイミングに入っていけるのかなと思います」
稀有な経験を経て、チームの結束は高まりつつある。目指すは関東大学リーグ戦制覇、そして大学選手権での躍動だ。リーグ戦の個性派“中大一族”は、今季、果たしてどんな軌跡を描くのか。
(文・撮影/多羅正崇)