セカンドホームのシンガポール・ナショナルスタジアムで何度も善戦してきた日本のサンウルブズだが、同地での今季ラストゲームも、勝利で飾ることはできなかった。5月20日、スーパーラグビー第13節で南アフリカのシャークスと対戦し、17−38で敗れた。62分(後半22分)に4点差まで詰め、そのまま終盤の攻防に突入したが、74分から相手に3連続トライを許し、力尽きた。
「最後の10分間、自分たちのミスでトライを取られてしまった。そこは、ここまでのシーズンを通しても反省点。しっかり修正しないと、これからも勝ちきれない試合が続くと思う。しっかり反省して次につなげたい」(サンウルブズ・立川理道キャプテン)
先制したのはシャークス。キックを処理したSOガース・エイプリルのカウンターを機に攻め上がり、前半2分、南ア代表でもあるFBルワジ・ンヴォヴォが防御網を破ってトライを挙げた。
サンウルブズは18分、敵陣22メートルラインでペナルティをもらうと、クイックタップから仕掛けて連続攻撃、負傷したHO堀江翔太に代わって入ったばかりのHO日野剛志がインゴールに突っ込み、TMO(テレビジョンマッチオフィシャル)でトライが確認された。同点となる。
しかし先週、格下のキングズに黒星をつけられ、プレーオフ進出のために連敗はできないシャークスはすぐに先手を取った。22分、スクラムでペナルティを得たあと、ラインアウトからモールで押し込み得点。34分には、サンウルブズのハンドリングエラーからボールを奪い返してカウンターでゴールへ走り切り、リードを広げた。
7−21で後半を迎え、しばらく相手の堅守に苦労していたサンウルブズだが、51分、SH田中史朗がラックサイドでスペースをつくったところをFL松橋周平が抜けてトライを挙げる。62分には途中出場のSO小倉順平がPGを決め、17−21と4点差に迫った。
その後、サンウルブズの粘り強いディフェンスが続き、シンガポールのファンの声援もあって流れは変わったかに思われた。が、73分のミスが崩壊の始まりとなる。サンウルブズは自陣深くのスクラム後、SO小倉が右にスペースを見つけて絶妙のキックパスを放ったが、WTB江見翔太がノックオン。自陣22メートルライン内で相手ボールスクラムとなり、チャンスとなったシャークスはセットピースからパワフルなランナーがタテを突いたあと右へ展開し、LOエティエンヌ・ウーストハイゼンのオフロードパスをもらったFBンヴォヴォがゴールに突っ込んで決定的なトライを挙げた。
あきらめないサンウルブズは相手にプレッシャーをかけるも、78分、パスをカットされて独走を許し、連続失点。
ボーナスポイントを確実にしたシャークスはさらにリスタート直後、FLジャン=ルック・デュプレアのゲインと巧みなハンドスキルからFBンヴォヴォのハットトリックが生まれ、アウェイチームが歓喜するノーサイドとなった。
1勝10敗(勝点7)となったサンウルブズは今季あと4試合。次週は東京・秩父宮ラグビー場で、2勝10敗のチーターズ(南アフリカ)と対戦する。サンウルブズにとっては最下位を脱出できるチャンスだ。
■サンウルブズ フィロ・ティアティア ヘッドコーチ コメント
シャークスは我々にしっかりとプレッシャーをかけてきて素晴らしいプレーをしたと思います。サンウルブズもリーダーシップのなかでよい判断をしてくれた場面もたくさんありました。しかし一方で、よくない判断の場面もありました。その点は引き続き改善していってほしいと思います。
選手たちには、自分の息子と同じように、一人一人にそれぞれの力を出し切って欲しいという気持ちで見守っています。彼らの今日おこなった判断は、悪い判断だったとは思いません。ただ判断を遂行しきることができなかったことが、敗因のひとつだと思います。しかしそれはコーチも同じで、才能のある選手がそろっている前で、コーチもしっかりプランを立てて、彼らにやり遂げたいプレーをさせなければいけません。それはコーチの責任でもあると思います。